出張際の移動時間は労働時間に該当するのでしょうか移動中の状況によって答は変わります労働時間の集計や賃金計算にも影響する大事なことですので社労士具体的な例を示しながら解説します。

こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「出張の移動時間は労働時間になるか?」についてお話をします。

原則、ならない

まず労働時間の定義ですが、会社の指揮命令下にある時間、つまり会社の指示を受けて作業をしたり待機をしたりしている時間、これが労働時間というわけなんです。では出張先までの移動、出張先から戻るときの移動、これは労働時間になるかという答えなんですけれども結論を言ってしまいますと原則なりません。労働時間ではないということになります。これは車中自由に過ごせるからというわけです。スマホを見たり寝たり何か食べたりと自由に過ごしていられる時間であって、それは会社の指揮命令下にない時間であると考えられるからなんですね。これは通勤時間と同じような扱いですね。通常の通勤時間も労働時間には当たらないですよね。

労働時間となるケースも・・・

ただし例外もあります。まず物品やお金などを会社の指示で運んでいたり、取られないか監視したりしている場合は、労働時間になる場合があります。それから上司が同行していて車中で打ち合わせをしたり、あるいは支持されて何かの作業、例えば書類作成をしたりしているのであれば労働時間になる場合があります。それと人を引率している場合ですね。お客様をお連れしている案内している、このような場合はやはり会社の指揮命令下にあるといえます。これらのようなことを行っているケースでは、自由に過ごせる時間ではない、完全に労働から解放されている時間ではないということで、労働時間と扱われる可能性が高いと思います。

具体的な取扱い

出張の移動時間は労働時間にならないので、休日に移動した場合あるいは時間外に移動時間があった場合に、休日出勤や時間外の割増賃金を払う必要がないということになるんですね。もちろん所定労働時間内に移動があったからその分賃金を引いていい、ということにはなりません。

これは新幹線でも飛行機でも同じです。飛行機の中で自由に過ごせるのであれば労働時間ではないということになります。それから国内出張でも海外出張でも同じことですね。海外出張では移動時間が長くなるケースが多いかと思いますが、考え方は一緒で労働時間にはならないというわけです。
ただし、新幹線だろうと飛行機だろうと、国内だろうと海外だろうと、一定の拘束はされていますよね。ですから実務上は、日当とか出張手当が支給されることが多いです。労働時間としては扱わないものの日当や出張手当を支払って調整するというケースがほとんどだろうと思います。

今回は「出張の移動時間は労働時間になるか?」についてお話しました。これからの労務管理に少しでも参考になれば幸いです。

執筆者
志賀 直樹

社会保険労務士法人ジオフィス代表

300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。

保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員

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