労働基準法作成保存が義務付けられている法定4帳簿とはどのようなものでしょうかいずれも適切な労務管理行うために欠かせないものです。法定の必須記載事項や保存期間を社会保険労務士解説します

こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「会社が必ず作成すべき『法定4帳簿』とは何か?」についてお話をします。

労働基準法で作成が義務付けられている労務管理上の重要な4つの帳簿、いわゆる法定4帳簿についてお話をしていきます。順番に見ていきましょう。

1.労働者名簿

必須記載事項 ・氏名・生年月日・履歴・性別・住所・従事する業務・雇入れ年月日・退職年月日と理由

保存期間 5年間(当面3年間)

起算日 退職日

罰則 30万円以下の罰金

これはイメージとしては社員名簿ですね。労働者名簿はその内容が全員分ワンシートではなくて、1人ワンシートになってより詳しい情報が記載されているもの、という風に考えていただければイメージが湧くかと思います。よく見受けられるのが、労働者名簿を作っているけれども必須記載事項のうち、「履歴(最終学歴と職歴)」と「退職年月日と理由」が抜けちゃっているのが多いですね。氏名や生年月日など賃金計算ソフトに入力してそこから労働者名簿を生成することが多いと思いますが、履歴は入力していないので自動的に反映されてこないということ、それから退職年月日と退職理由は退職者に関してはちょっとおろそかになってしまっていちいち追いかけて書いてない、というようですが、これらに関してもしっかりと書くようにしてください。

2.賃金台帳

必要記載事項 ・氏名・性別・賃金計算期間・労働日数・労働時間数・時間外、深夜、休日労働時間数・基本給と手当の額・賃金控除の額

保存期間 5年間(当面3年間)

起算日 最終記入日

罰則 30万円以下の罰金

イメージとしては給与明細を全社員分一覧で見られるように作った書類、という風に考えていただければよいかと思います。賃金台帳を拝見して気が付くのは、「時間外、深夜、休日労働時間数」の記載が抜けているものが多いですね。しっかりと記入するようにしておいてください。一般的な給与明細をコピーして集めておいて賃金台帳の代わりになるかというと、通常ではそれではダメなことが多いですね。必須記載事項が抜けていることが多いです。

3.出勤簿

必須記載事項 ・氏名・出勤日と労働日数・出勤日ごとの始業、終業時刻と労働時間・休憩時間・時間外、深夜、休日労働を行った日付、時刻、時間

保存期間 5年間(当面3年間)

起算日 最終出勤日

罰則 30万円以下の罰金

出たか出なかったかをハンコを押すだけみたいな出勤したかしなかったかが分かるだけのような昔ながらの出勤簿は、この出勤簿としては通用しないです。始業終業の時刻であったり時間外労働の時間数であったりこういったものが分からないと法定4帳簿の出勤簿としては認められないということになります。ただ、タイムカードに必須記載事項がしっかり漏れなく記載されているのであれば、そのタイムカード自体は出勤簿にあたるものとして通用することになります

4.年次有給休暇管理簿

必須記載事項 ・基準日(付与日)・日数(取得日数)・時季(取得した日付)

保存期間 5年間(当面3年間)

起算日 付与日の1年後(付与した日から1年経過後)

罰則 なし

2019年4月に働き方改革の法改正で、年次有給休暇を10日以上付与した労働者の方には付与日から1年以内に5日間は必ず取得させなければならない、といったルールが導入されました。その時に合わせて義務化されたのがこの年次有給休暇管理簿なんです。付与日から1年以内に必ず取得させたかどうかっていうのをしっかりと確認するためその実効性を確保するためにはこういった管理簿をつけていないとできないだろうということで義務化されました。ですからまだ比較的新しい帳簿なんですね。

基準日というのは付与日のことです。会社が従業員さんに有給休暇を付与した日のことになります。日数とは取得日数のことで、従業員さんが実際に有給休暇を使用した日の日数のことを言っています。ただ実際には繰り越し日数というのがありますよね。有給休暇は時効2年ですから1年で使わなかったら翌年に繰り越されるわけなんですけれども、前年から繰り越されてきた繰り越し日数と本年度新しく付与された日数、これが使える有給休暇の合計日数。そして今年使った取得日数を引くと有給残日数になる、ということでこれらの日数は全部書いておいてください。管理簿にはこういった日数が一目で分かるように記入しておいていただければと思います。半日単位での年休取得は義務ではないんですけど多くの会社が認めているかと思いますが、日数の扱いとしては全休は1日、半休は0.5日というようにカウントしていただければと思います。

時季とは取得した日付のことですね。従業員さんが何月何日、あるいは何月何日~何月何日まで有給休暇を取得したかが分かるように、時季を必ず記載しなければならないことになっております。

これら法定4帳簿は必ず作成しなくてはいけないんですけれども同時に保存もしなくてはいけないと義務付けられています。保存期間は全て5年間です。現在経過措置として当分の間3年間ということになっていますが、いずれ経過措置が終わって5年間になりますので保存期間は5年だという風に考えていただいた方がよろしいかと思います。

5年をいつからカウントするのか保存期間の起算日はそれぞれ定められていますのでよろしくお願いします。

もしこれらの帳簿を作成・保存していなかった場合の罰則なんですけれども、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿は30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。年次有給休暇管理簿には罰則はありません。ただし先ほどご説明しましたように5日間の時期指定義務を確実に行うために作成するのがこの年次有給休暇管理簿なんですね。この帳簿を作成しないこと自体には罰則はないんですけれども、作成しないことで5日間の時期指定義務を果たしていなかった場合には罰則があります。これは労働者1人につき30万円以下の罰金(つまり10人であれば300万円)がありますので、しっかりと作成していただければと思います。

最後に注意点として・・・

必須記載事項に漏れがなければ様式は任意

帳簿の様式は文房具屋さんでも売っていますしインターネットからダウンロードすることもできますのでそういったものを使っていただくのも構いませんし、必須記載事項に漏れがなければ様式は自由ですから使いやすい様式を使用していただければとおもいます。

ソフトで作成しデータ保存でも必要時にいつでも印刷できればOK

こういった帳簿を賃金計算ソフトや勤怠管理ソフトで生成することができる場合も多いですがそれをその都度印刷してストックしておかなくても必要な時にいつでもプリントアウトできるような体制が取られているのであればデータ保存の形でも大丈夫です。

いかがでしたでしょうか。労働基準監督署の調査の時などにも提示が必要になるものですのでしっかりと作成・保存していただくようよろしくお願いいたします。
今回は「会社が必ず作成すべき『法定4帳簿』とは何か?」についてお話をしました。これからの労務管理に少しでも参考になれば幸いです。

執筆者
志賀 直樹

社会保険労務士法人ジオフィス代表

300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。

保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員

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