お弁当代や社宅家賃などを給与から控除天引きするには労使協定が必要です社労士が分かり易く解説します。

こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「賃金控除に関する労使協定(24協定)とは何か?」についてお話をします。

36協定なら聞いたことがあるけれども24協定というのはあまり聞いたことがないという方も多いかと思います。今回はこの賃金控除に関する労使協定、通称24協定についてお話をします。

給与明細を見ると控除項目というところにいろいろなものが給与から控除つまり天引きされていることがよくあると思います。実は所得税・住民税・社会保険料以外のものを給与から控除するためには、労使協定を結ぶことが必要なんですね。

労使協定というのは、会社と労働者の間で取り交わされる書面による取り決めのことをいいます。実際には、労働者の過半数で組織される労働組合がある場合はその労働組合と、ない場合は労働者の過半数代表者と締結することになります。

賃金全額払いの原則

労使協定を結ばないでこれら以外のものを天引きすると違法ということになってしまうわけです。これは「労働基準法第24条」が根拠になっています。「賃金支払い5原則」について定めた条文です。賃金支払い5原則とは、「賃金は、通貨で・直接・その全額を・毎月1回以上・一定の期日に支払わなければならない」という原則になります。この中の「全額払いの原則」つまり所得税・住民税・社会保険料こういう法律で認められたもの以外は、労使協定を結ばない限り給与から控除してはダメですよ、というわけなんです。

例えば、弁当代・社宅家賃・組合費・親睦会費・旅行積立金・貸付金の返済、こういったものを給与から天引きしているケースはよくありますよね。こうしたことをするためにはこの労使協定が必要だ、というわけなんです。

24協定は届出・有効期限の必要なし

労働基準法第24条が根拠となっているためにこの労使協定は通称「24協定」と呼ばれることがあります。この24協定は、36協定と違って労働基準監督署への届け出は必要ないですね。そして有効期限を設定する必要もありません。つまり1回締結してしまえば会社と労働者どちらからか破棄したいということがない限りずっと有効であるというものになります。ただしそれだけに、紛失注意。しっかりと保管場所を決めてなくさないように保管しておく必要があります。

実際には仕出し弁当代といったものを24協定を結ばないで控除してしまっているケースなど多々あるかと思いますけれども、この24協定に関しては紙切れ1枚1回締結してしまえばあとずっと有効というものになりますので、面倒くさがらずに労使協定を締結していただければ思います。

今回は「賃金控除に関する労使協定(通称24協定)とは何か?」についてお話をしました。これからの労務管理に少しでも参考になれば幸いです。

執筆者
志賀 直樹

社会保険労務士法人ジオフィス代表

300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。

保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員

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