給与の締め日や支払日を変更することは可能なのでしょうか?もしできるとすれば、どのようなことに気を付けなければならないのでしょうか?社労士が3つのポイントと注意点について解説します。

こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「給与の締め日や支払日は変更できる?」についてお話をします。

実際に給与の締め日や支払日は変更できるのか時々ご質問がありますが、逆にこちら側から締め日や支払日の変更を提案させていただく場合もあります。例えば20日締めの25日払いのような場合、締め日から支払日まで5日しかないということになりますので給与計算が大変になってしまうので変更をご提案するケースです。ですから今回の動画のタイトルに対する答えはできるということになります。

締め日や支払日の変更にあたっては下記の3つのポイントをおさえながら行っていただければ可能ということになります。

①なるべく早く通知する

変更するのであれば急に変更というのはできませんので来月から変更しますといったケースは急すぎるということです。事前に少なくとも3か月前ぐらいには説明会を開いたり文書を配布するなどして従業員さんに説明し理解を求めるということが必要になります。その時に変更日を伝えるだけではなく、どうして変更するのかも含めて事前に説明することが必要です。

②従業員の生活費に配慮する

従業員さんというのは給与の支払日に合わせてローンやクレジットの支払いを予定している方も多いかと思いますので、配慮してあげることが必要になります。例えばその変更を賞与支払月に合わせたりするのも方法の1つです。賞与が支払われている月であれば資金的に多少余裕があるはずです。その時に一時的に支払額が少なくなったりしたとしても賞与があれば問題ないということになります。それからもう一つ無利子の貸付を実施するなどの方法も考えられます。変更の際に臨時的に無利子の貸付を行い従業員さんに告知していくということになります。今まで実務上の経験から言うと、無利子の貸付を実施してもあまり利用率は高くなかったです。それぐらいの蓄えは皆さん持っているケースが多いのかもしれません。

③就業規則(賃金規程)を変更する

この賃金に関する締め日や支払日などは就業規則(賃金規程)の絶対的記載事項ですから、変更する場合は規程も同時に変更する必要があります。従業員代表の意見書を添えて管轄の労働基準監督署へ届け出てください。そしてそれを従業員の皆さんに周知することで就業規則は有効となります。

以上3点のポイントをおさえてほしいのですが、注意点もあります。

①変更月に給与が支払われないのはダメ

労働基準法の第24条に賃金支払の5原則というルールが定められていて、その中に毎月払いの原則というものがあります。変更したことによってその月が1回も給料が支払われないというのは法律で禁止されていますのでご注意ください。例えば25日締めで当月末日払いの会社がその支払日を翌月10日払いに変更したとすると、変更月は末日に支払われる給料がなくなりますので問題となります。末日には翌月10日に払う給料の一部だけでも支払う必要があります。実際の金額の半額だったり、一律10万円など設定して支払いがないという状況を避けてください。

②4月~6月の変更は避ける

この期間は算定基礎届に必要となる期間ですので、変更と行うと算定基礎届の手続きが煩雑になります。変更ができないわけではないですが、4月~6月の変更は避けた方がベターです。

③離職証明書の作成に注意

雇用保険の被保険者が退職する時には離職証明書を会社が作成します。その際に締め日を変更している場合には注意が必要です。離職証明書の中に賃金支払対象期間というものを書く欄がありますが、これは締め日の翌日から締め日までの期間をずっと書いていくものなので締め日を変更したことによって、その日数が変更月に関してはイレギュラーになるわけです。そこの備考欄には「●月●日から締め日変更」といった内容を記載する必要があります。

以上のポイントや注意点を考慮していただければ、締め日や支払日を変更することは可能ということになります。

この締め日や支払日を変更することは頻繁に起こることではないので、やったことがないという方がほとんどだと思います。この対応は一時的であっても従業員さんに不利益を与える場合がありますので、もし変更を行う場合にはよく考えて頻繁に変更することがないようにしていただければと思います。

今回は「給与の締め日や支払日は変更できる?」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。

執筆者
志賀 直樹

社会保険労務士法人ジオフィス代表

300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。

保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員

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