社員が年次有給休暇の取得を申請する際に、会社が取得理由を聞くのは違法になるのでしょうか?社労士が解説します。

こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「会社は有給休暇の取得理由を聞いてもいいの?」についてお話をします。

年次有給休暇を取得することは労働基準法で認められた従業員の権利です。

①有給休暇は理由を問わず取得できる

労働基準法に書いてあることを見ると、取得したい時季を指定して請求するだけでよいと記載があり、理由を述べろとはどこにも書いてありません。

②会社が取得理由を聞いても違法ではない

理由を聞くこと自体は問題ありません。一般的な会社では有給休暇の申請書に取得日と取得理由欄が大概ありますがこれも違法ではありません。しかし従業員側も細かく書く必要はありません。申請書の理由欄には「私用のため」と書いておけば十分です。

③会社は取得理由を見て「時季変更権」を行使する場合がある

有給休暇というのは本来理由を問わないのに会社側が何故聞くかということなのですが、会社側には時季変更権という権利があります。時季変更権とは事業の正常な運営を妨げる場合に限り日程変更を求めることができるというものです。先ほどお伝えしたようにあくまで従業員側は取得したい時に理由問わず取得できるというのは大原則ですが、会社側から変更を求められる場合もあります。ただ単に忙しいから・繁忙期だからという理由だけは時季変更権は行使できません。事業が止まってしまうレベルで重大な場合に限り行使可能となります。

【例】 同日に3人に有給取得を希望された場合( 理由 Aさん:通院 Bさん:友人の葬式 Cさん:買い物 )

同日に3人に有給取得をされては会社に重大な支障をきたすと判断し、少なくとも1人は出勤してほしい場合に会社側が誰に対して時季変更権を行使するか考える時には理由を見ることがあります。例に示した内容の場合、Cさんの買い物という理由であれば違う日に行っていただくことはできないだろうかとお願いする運用を行う場合があります。時季変更権はよっぽどのことがない限り行使されることはありませんが、仮に会社側から時季変更権で日程変更をお願いされては困る大事な予定がある時には取得理由欄に明確に記載しておいた方が無難です。会社側はそれを見て時季変更権を行使する優先順位を考慮してくれる場合があります。

④会社が取得理由をしつこく聞くのはNG!

理由を聞くことは違法ではありませんとお話をしましたが、しつこく聞いた場合には違法になる場合もあります。

× 詳しい理由を書くように共用

× 取得理由を書いていない申請書を受理しない

×  理由によっては取得させない

いかがでしたでしょうか。申請書の理由欄を設けることは違法ではありませんが、理由欄は任意と記載するなど工夫があっても良いかもしれません。

今回は「会社は有給取得の取得理由を聞いてもいいの?」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。

執筆者
志賀 直樹

社会保険労務士法人ジオフィス代表

300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。

保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員

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