こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「なぜ休憩を一斉に与えないと違法なのか?」についてお話をします。
休憩時間に関してはいくつかのルールが定められていますが、その中の1つに一斉付与の原則があります。
①休憩は一斉に与えなければならない。(労働基準法第34条第2項)
休憩というのはもちろん勤務時間中の休憩のことですが、これはバラバラではなくてみんなで一斉に取れるようにしなければいけないということです。これは部署ごとではなく、事業場ごととなりますので原則として一斉に休憩が取れるようにしなければなりません。
ですから、このタイトルにあるなぜ一斉に与えないと違法なのか?という問いに対する答えはズバリ労働基準法第34条第2項で定められているからということになります。
それでは何故労働基準法にこのようなルールが定められているのかというと、これは「休憩は心身の疲労を回復させるために不可欠。みんな一緒の方が確実に取れるし、回復度合いも高い。」と考えられているからです。例えば休憩が60分なら休憩をバラバラにとっても一斉にとっても同じ60分かと思うかもしれませんが、やはりみんなが忙しく働いている時に休憩に入って良いと言われても遠慮してしまって休憩に入りづらかったりしますし、みんな忙しそうだから早めに戻ろうかなんていうことにもなるかもしれません。その点、みんなで一緒に取って一緒に戻る方が確実に休憩が取れるだろうということと、一人だけ休憩室でポツンと休憩を取ってお弁当を食べるよりかはみんなでワイワイとお喋りをしながら一緒にお弁当を食べた方が回復度合いが高いということから一斉付与の原則が定められています。
②ただし、下記業種は対象外
下記記載の業種についてはこの一斉付与の原則は適用されないということになっていますので、どういう業種なのか見ていきましょう。
・運輸交通業(トラック・タクシーなど)
・商業(小売業・卸売業・理美容業など)
・金融広告業(銀行など)
・映画、演劇業(映画館など)
・通信業(郵便局など)
・保健衛生業(クリニックなど)
・接客娯楽業(飲食店など)
・官公署(役所など)
見ていただければ分かると思いますが、全て一斉に休憩を取得したら困ってしまうような業種です。皆さんがお客さんの立場で上記のような場所に行って全員休憩を取っていたら困りますよね。ということで全員一緒に休憩を取得したら支障が出るだろうというところで記載した業種は一斉付与の対象外となっています。
③労使協定を締結すれば一斉に与えなくて良い
現代においては全員一緒に休憩を取得するということがなかなか現実的ではないという場合もあるかと思います。②で説明した業種以外であっても、労使協定を締結すれば一斉に休憩を与えなくても問題ありません。労使協定というのはこのチャンネルでも今まで何回も出てきました。会社と従業員の代表の方が取り交わした書面による約束の事です。労使協定には種類があってその中には労働基準監督署への届け出が必要なものもあれば不要なものもあります。この一斉休憩の適用除外の労使協定は提出不要となります。有効期限に関しても特に意義がなければ自動更新という定めが可能ですので1度取り交わしたらそれを紛失しないよう会社で保管しておいていただければ問題ないということになります。その労使協定の範囲内でこの休憩というのは一斉に与える必要がなくなるということになります。労使協定のサンプルに関しては概要欄にリンクを貼っていますので確認してみてください。

従業員さんが勤務中に休憩を取って心身をリフレッシュさせることは労災事故を防ぐためにも生産性を上げるためにも大切なことになります。一斉に与えるにしても与えないにしても従業員さんがしっかりと休憩を取得できるようにしてください。
今回は「なぜ休憩を一斉に与えないと違法なのか?」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。
執筆者

志賀 直樹
社会保険労務士法人ジオフィス代表
300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。
保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員


