こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「休業(補償)給付の待期の3日間とは?【労災保険】」についてお話をします。
まず前回の動画で傷病手当金の3日間の待期期間について説明をしました。傷病手当金というのはプライベートのケガや病気などで労務不能となり休業した時に健康保険から貰えるお金のことでした。その傷病手当金の最初の3日間は待期期間として判断されその間については支給されないと説明しましたが、今回お話しする労災保険の休業補償給付にも3日間の待期があります。似たような制度ですが、傷病手当金の待期とは少し違う部分がありますので今回はそちらについて説明していきます。
まず休業補償とは何なのかということですが、これは仕事中や通勤中のケガや病気などで労務不能となって休業した場合に労災保険から貰えるお金がこの休業(補償)給付金です。補償に括弧がついているのは、冒頭で申し上げたように仕事中や通勤中のケガなどで労務不能となった場合に給付が受けられると言いましたが、仕事中の業務が原因で労務不能になった場合を「業務災害」と言って、業務災害による労務不能で休業する場合に受けられるのが休業補償給付です。それに対して通勤中のケガなどで労務不能になった場合を「通勤災害」と言って、その際に受けられるのが休業給付です。業務災害か通勤災害かで給付の名前が違うため括弧をつけて記載されているというわけです。
具体例を図にしてみました。

私傷病・業務災害・通勤災害どの場合でも労務不能になるケガをしたとして休み始めた場合の図です。2日目まで休み3日目はたまたま出勤し4日目にまた休みに入ったケースの場合、待機期間はどうなるかご説明します。
まず健康保険から出る傷病手当金は連続した3日間の待期が必要となりますので4日目以降が待機期間となり7日目から支給が開始されることになります。それに対して労災保険の休業補償給付金の待期期間はどうなるかというと、連続している必要がありません。通算で3日あれば完成するということで、今回のケースの場合3日目に出勤はしているものの4日目にも休んでいるのでそこで待期期間が完成し5日目から支給となります。
そして他にも休業補償給付の待期期間について注意するポイントがいくつかあります。
・業務災害の場合、会社が平均賃金の60%支払う(公休日も)
仕事中のケガの場合は待機期間中の休みの部分について会社が平均賃金の60%支払う必要があります。通勤中のケガの場合は対象外です。この待機期間中の会社側の義務は傷病手当金にはありませんが、業務災害の場合は支払う義務がありますので注意してください。
・待期期間の起算日の考え方
所定労働時間内にケガ
→ 早退して受診:その日から
→ 終業後に受診 :翌日から
→ 残業中にケガ :翌日から
待期期間のカウントの起算日ついてですが、状況によって異なります。早退したか、終業後なのか、残業中なのかで起算日が変わりますのでご注意ください。
・従業員が自分の意思で有休取得できる。
傷病手当金では待機期間中について有給か無給かは問われないというお話をしましたが、労災についても自分の意思で有休取得することは可能です。先ほど待機期間中でも業務災害の場合は会社側が平均賃金の60%支払うとお話ししましたが、結局60%なので満額ではありません。有休が残っているのであれば取得した方が給料としては満額貰えるわけです。それから通勤災害の場合には会社からの支給義務はないため完全無給となってしまいます。その際に有給を使用すれば満額支給となり従業員も損せずお休みすることができます。これはあくまで従業員の意思ですので、会社側から有休を使用するよう指示することはできません。
いかがでしたでしょうか。前回は傷病手当金、今回は労災保険の休業(補償)給付の3日間の待期について説明をしました。なぜこういう待期期間が設けられているかというと、これは仮病による虚偽の申請を防ぐ意味合いがあります。ただ傷病手当金と労災保険では待期の考え方が若干違いますので十分注意していただけたらと思います。
今回は「休業(補償)給付の待期の3日間とは?」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。
執筆者

志賀 直樹
社会保険労務士法人ジオフィス代表
300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。
保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員


