出向には「在籍出向」と「転籍出向」の2種類あります。この二つはどのように違うのでしょうか?会社からの業務命令で行うことができるのでしょうか?社労士が分かりやすく説明します。

こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「どう違う?在籍出向と転籍出向」についてお話をします。

まず会社に勤めていると出向という言葉を聞くことがあるかと思います。実はこの出向には2種類ありますので今回はそちらについてお話をしていきます。

先ほど申し上げたように出向には在籍出向転籍出向と2種類あります。

在籍出向 現在勤めている会社(出向元)の籍を置いたまま他の会社(出向先)の指揮命令下で働くこと。いずれ出向元に戻ることが前提。

この在籍出向はコロナで需要が減った航空会社が雇用調整の目的で社員を異業種に出向させて勤務させたというニュースがあったのを覚えている方もいらっしゃると思います。

転籍出向 現在勤めている会社との雇用契約を終了してほかの会社と雇用契約を結んで働くこと。転職とほぼ同義。

この転籍出向は会社側の指示で行われるイメージですが、人事異動の一環で転籍と位置付けているものに対して転職というのは自分の意志で会社を辞めて他の新しい会社で働くことを意味しているので若干意味が違ってきます。

しかしここで問題になるのは「業務命令で出向を命ずることはできるのか」ということです。今回の大きなテーマになりますが、結論から言うと在籍出向の場合は就業規則などに出向命令を出す根拠になる規定を定めていれば業務命令として出向を命ずることが可能です。それに対して転籍出向の方は原則として社員の同意が必要となり、社員の同意無くして一方的な命令での転籍出向は不可となります。規定で定めていても、その出向命令が業務上の必要性がほとんどなかったり、従業員の不利益が大きい場合には権利の乱用として無効になる場合があります。

いかがでしたでしょうか。今回説明したように在籍出向は就業規則に規定があれば会社の指示で命令できます。それに対して転籍出向は従業員の同意が必要となりますので、何かあった場合にはご自身の会社の就業規則を確認してみてください。

今回は「どう違う?在籍出向と転籍出向」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。

執筆者
志賀 直樹

社会保険労務士法人ジオフィス代表

300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。

保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員

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