私傷病で休業したときに健康保険から所得補償が受けられる傷病手当金。どのような条件を満たせば受給できるのでしょうか?受給できる期間や金額についても社労士が分かりやすく解説します。
こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「傷病手当金を受給するための5つの条件」についてお話をします。
プライベート中の怪我や病気で仕事を休むことになると通常はその間お給料が支払われなくなるというのが一般的です。そうするとその間の生活はどうなるのか心配になりますよね。実は健康保険にはそのような場合でも一定の条件を満たせば所得補償がされる傷病手当金という制度があります。今回はその傷病手当金を受給するための条件、それから貰える期間や金額についてお話をしていきます。ただし今回お話するのは協会けんぽの場合についてですのでご注意ください。健康保険組合に加入している方もほとんど同じような制度になっているかと思うのですが、場合によっては一部異なる場合がありますので詳細は各健康保険組合にご確認いただければと思います。
まずタイトルにもある5つの条件というものを順番に見ていきましょう。
【条件】
①健康保険の被保険者
傷病手当金を受けるためには健康保険の制度ですから健康保険の被保険者であること、被保険者の本人だけです。被扶養者である方は病院に3割負担で受診できますが、傷病手当金に関しては受給不可となっています。そして国民健康保険に加入している方は原則傷病手当金は受けられません。
②業務外の怪我や病気(私傷病)
傷病手当金の受給条件はプライベート中の怪我や病気での場合です。業務中や通勤中の怪我に関しては労災の方から保護されるということになります。
③労務不能
怪我や病気が原因で仕事をすることができない状態にあることということになります。そして労務不能であることについては病院の証明が必要です。この支給申請書に関しては書式・記入例を概要欄のリンクに貼っていますので後で確認してみてください。
また労務不能に関して医師の証明が必要ということで時々診断書を提出してくる方がいますが、診断書では申請できませんのでご注意ください。
④連続3日間の待期
初めての方には意味が分からないかもしれませんが、私傷病が原因で3日連続お休みして、休業4日目以降に支給が開始されるものになります。この3日間連続のお休みを待期期間と呼びますが、待期期間が完成していないと申請はできません。欠勤のカウント方法ですが、有休でも公休でも問題ありません。どちらも待期期間に含めて考えていいものとなります。
⑤給与の支払いがない
怪我や病気でお休みをしても給料は支払われる場合にはこの傷病手当金は支給されません。この制度は給与が支払われないからその部分に対して所得補償をしてくれるというものです。ただし少額に支払の場合には差額のみ支給されるケースもあります。
以上が傷病手当金を受けるための5つの条件で、これらを全部クリアして初めて受け取れるということになります。
【もらえる期間と金額】
①支給開始日から通算1年6か月
条件を満たせば通算の月数が残っている場合に限り退職後も受給可能。条件というのは例えば退職日まで1年以上継続して健康保険の被保険者であること・退職日に傷病手当金を受けている又は受けられる条件を満たしていることなどです。注意していただきたいのは退職日に出勤していると退職後の傷病手当金を受けることができなくなりますので気を付けてください。
②支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均÷30×2/3
この計算式は1日あたりの支給額となります。
労働保険も社会保険も保険ということには変わりありません。単に義務だから加入して保険料を納めるというだけではなくて、事故が起きたときには請求して保険金をもらわないともったいないです。仕事中の怪我は労災保険、プライベートの怪我や病気は社会保険と会社にお勤めの方は手厚く保護されていますので必ず請求するようにしていただけたらと思います。
今回は「傷病手当金を受給するための5つの条件」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。
執筆者

志賀 直樹
社会保険労務士法人ジオフィス代表
300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。
保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員


