こんにちは。社会保険労務士の志賀です。
今回は、「2024年10月から、教育訓練給付金が拡充されます」についてお話をします。
今年の5月に雇用保険法が改正されましたので、順番にそのお話をしているのですが、その中で最も早く、今年の10月から始まるもの、それが今回お話しする「教育訓練給付金の給付率がアップする」です。
まずその教育訓練給付金とはどういう制度なのかということなのですが、これは「労働者のスキルアップのために厚生労働大臣が指定した教育訓練を受講して修了すると、受講費用の一部が支給される」という制度です。
ただし、受講費用の支給額には上限額がありますので、そこはご注意下さい。
そして、厚生労働大臣が指定した教育訓練とありますが、その種類は1万6000種くらいあると言われております。
概要欄にリンクを貼ってありますので、そちらも後で確認してみてください。
教育訓練の種類
「教育訓練」には種類が3つあります。
- 専門実践教育訓練
労働者の中長期的なキャリア形成に資する訓練
例えば、看護師や美容師や歯科衛生士などです。
- 特定一般教育訓練
速やかな再就職や早期のキャリア形成に役立つ訓練
例えば、介護職員初任者研修や大型自動車第1種第2種免許などです。
- 一般教育訓練
雇用の安定と就職の促進に役立つ訓練
例えば、TOEICや簿記検定、宅地建物取引士などです。
実はこの中には社会保険労務士や税理士の講座も入っています。
現状の支給率は
それぞれの教育訓練に対して教育訓練給付金の支給率は違っており、現状はどうなっているかと言いますと、
- 専門実践教育訓練
受講費用の50%が支給されます。
ただ、追加給付があり、資格取得をして1年以内に雇用保険の被保険者として雇用されている場合には20%が追加されるので、それも合わせると最大で70%の支給が受けられるということになります。
- 特定一般教育訓練
受講費用の40%が支給されます。
追加支給はありません。
- 一般教育訓練
受講費用の20%が支給されます。
追加給付はありません。
改正後の支給率は
そして、これがどのように変わるかと言いますと、
- 専門実践教育訓練
追加給付にもう一つ支給項目が追加されます。
教育訓練受講後に受講前と比べて賃金が5%以上上昇している場合には、さらに10%の追加給付が行われます。
現状の支給と合わせると、合計で80%の支給が受けられるという事になります。
- 特定一般教育訓練
こちらは今まで追加給付は無かったのですが、改正後は、資格取得して1年以内に雇用保険の被保険者として雇用されていると、10%の追加給付を受けることができるようになり、現状の40%と合わせると、合計で50%の支給率になります。
- 一般教育訓練
改正での変更はなし
今回の雇用保険法の改正で変更になったのは、専門実践教育訓練の支給率が70%から80%に、特定一般教育訓練の支給率が40%から50%に、それぞれアップしましたよと、この様になったわけです。
いかがでしたでしょうか。
今回はいくつかの雇用保険の改正点の中で最も早く、今年の10月から早速始まります、教育訓練の支給率アップについてお話をしました。
以前もお話ししましたが、この教育訓練給付金という制度は大変良い制度だと思います。
雇用保険に加入して一定期間あることですとか、いくつか条件はありますが、それはまた別途見て頂くとして、この教育訓練給付金という制度は使えるのであれば是非、積極的に使ってキャリアアップをしていただけたらと思います。
今回は、「2024年10月から、教育訓練給付金が拡充されます」についてお話をしました。
少しでも参考になれば幸いです。
執筆者
志賀 直樹
社会保険労務士法人ジオフィス代表
300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。
保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員