月初に新しく入社される社員さんの雇用契約上の入社日は、実際の初出勤日にしなければいけないのでしょうか?それとも、例えばその月の1日付けにするなど、初出勤日と異なる日でも良いのでしょうか?社労士が解説します。

こんにちは。社会保険労務士の志賀です。

今回は入社日と初出勤日は違ってもいいのかについてお話しします。

まず土日が休日の会社があったとして、6月から入社の方がいらっしゃったとします。

2024年の6月はこのようなカレンダーになっています。1日が土曜日で2日が日曜日ということは、6月の所定労働日は3日からという事になります。この時に、入社日はいつにしたらいいのか。雇用契約書上のいわゆる入社日ですよね。これを6月1日にしたらいいのか、それとも実際の出勤は3日からになるので、雇用契約書上の入社日も3日にした方がいいのか。これ時々迷うことがあるかと思うんですね。

これは実は、どちらでもいいんですね。違っていてもOKということになります。雇用契約上いつから契約をするかという日付は、会社と労働者で話し合っていただいて合意が成立すれば6月1日でもいいし、6月3日でもいいということになります。
まあ実際同じことだよねと思われる方も多いかと思います。入社日が1日だろうが3日であろうが、実際働きだすのは3日でしょと。

ただですね、6月3日が入社日であれば、この方が会社に所属しているのは6月3日からなんです。その会社のメンバーになって就業規則が適用されるのは6月3日となります。

ところが6月1日が入社日であれば、あまりないケースだとは思いますが、休日出勤ですね、その会社の就業規則に休日出勤命令の根拠がちゃんと定めてあって、36協定も出ていると。どちらかが法定休日なのかはケースバイケースであるとは思いますが、休日出勤命令が出せるということですね。実際には入社早々休日出勤させられるということはほとんどないとは思いますけどね。
一方、3日が入社日であれば、そこはまだ会社に入社していませんから休日出勤はできないわけです。

ただ、2つ注意していただきたいことがあるんですね。

注意1 社会保険加入日

1つは、社会保険加入日ですね。社会保険の加入日というのは入社日が資格取得日になります。初出勤日が資格取得日になるわけじゃないんですね。6月1日が入社日であれば6月1日が、6月3日が入社日であれば6月3日が社会保険の資格取得日になります。
そうするとですね、3日を入社日にした場合は社会保険や健康保険や厚生年金保険の資格取得は3日になるわけですから、1日と2日は社会保険に加入していない、その会社の健康保険証が使えない状態になるんです。
それに対して1日を入社日にしているケースにおいては、実出勤は3日からであっても被保険者ですから、1日と2日に病院にかかる場合も新しい会社の健康保険証が使用できます。大きな違いですよね。万一怪我した場合にどうなるかという扱いが変わってくる。
保険料に関しては一緒です。社会保険料に関しては日割りという概念はありませんから、6月1日が資格取得日だろうが6月3日が資格取得日だろうが6月分の社会保険料というのは丸一か月分発生します。

この観点で見るとやっぱり1日を入社日にして資格取得日を1日にしといた方がよさそうです。

注意2 年次有給休暇付与日

そしてもう一つ。年次有給休暇の付与日もかわってきます。年次有給休暇というのは、入社から6ヵ月間継続して勤務してその間の出勤率8割以上あれば付与されますけれど、これは入社日から6ヵ月カウントしていますので、6月1日であれば11月30日で6ヵ月経過しますので、12月1日に初回の年次有給休暇が付与される。
それに対して6月3日入社ですと6ヵ月後というのは12月2日で丸6カ月たちますので、12月3日に初回の年次有給休暇が付与されると。それ以降1年ごとということで。
そうすると、1日の方が管理しやすいかもしれないですね。覚えやすいですし。

ということですので、可能であれば1日に揃えてしまった方が年次有給休暇の管理という観点で見ると会社側も管理しやすいのかなと思います。

結論

結論としては、入社日と実出勤日、初出勤日ですね、これは異なってもいいわけですから3日にすることもできる。会社と労働者の方で話し合って合意が成立すればどっちでもいいという事なんです。
ただ私が個人的にはこのケースにおいては6月1日を雇用契約上の入社日とした方がいいのではないかなと思います。

今回は、「入社日と初出勤日は違ってもいいの?」についてお話ししました。

少しでも参考になれば幸いです。

執筆者
志賀 直樹

社会保険労務士法人ジオフィス代表

300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。

保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員

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