スマホのアプリを通じて空き時間に働くスキマバイト(スポットワーク)が増えています。労働者から、および会社から、就業直前にキャンセルすることは可能なのでしょうか?社労士が解説します。

こんにちは。社労士の志賀です。今回は「スキマバイトはドタキャンできる?」についてお話をします。

スキマバイト、所謂スポットワークというものですが、まずこれがどういうものなのか簡単に説明します。

・短時間、単発の仕事

・履歴書面接不要

・アプリで完結

・即払い

・仲介業者である「プラットフォーム」がマッチングする

・職業紹介の一種

・当日現場でQRコードを読み取りチェックイン

そして今回のテーマであるスキマバイトはドタキャンできるかについてですが、企業側が求人を出して、労働者がそれに応募していよいよここからお仕事というタイミングでドタキャンの場合どうなるのか、会社から及び労働者からどちらもドタキャン可能なのか、この隙間バイトはどの時点で労働契約が成立しているかということを考えていく必要があります。

この隙間バイトは当日現場でQRコードを読み取ってチェックインし、勤務も開始というシステムであり、このチェックインを行った時点で労働契約が成立していると以前はこのような運用が多かったようです。しかし厚生労働省が出しているリーフレット等を見ますと、どの時点で労働契約が成立していると考えるのが良いか記載があります。

図のように応募した時点で契約は成立すると考えるのが一般的と記載があり、このような流れで運用している業界団体が多いようです。応募した時点で解約権留保付労働契約が成立していると厚生労働省も言っています。内定や試用期間の時にこの解約権留保付労働契約が成立すると言われていますが、これは労働契約は成立するが一定の条件では解約する権利があるとされています。そこから実際の勤務となっていきますが、今回のテーマであるドタキャンに着目して見ていくと、勤務開始の24時間前になると、労働者側(ワーカー)は原則キャンセルできる立場にあります。しかし利用するプラットフォームによっては直前のキャンセルの場合、何らかのペナルティを科される場合があります。あまりにドタキャンが多いと利用停止や応募ができない状況になる場合もあります。

労働契約が成立しているのにドタキャンできるのかと思われる方もいるかと思いますが、厳密に言えば債務不履行になります。債務不履行にはなるものの、実際にその会社から損害賠償を請求されることはほとんどないです。よってドタキャンしたことによる労働者側の不利益はペナルティが科されるぐらいかと考えられます。

それに対して会社の方は勤務24時間前になると原則キャンセル不可となります。一定の条件に当てはまった場合は解約する権利を持っていますが、これはやむを得ない場合です。例えば台風や地震などの自然災害、資格が必要と記載があるのにも関わらず無資格の人が応募してきた場合などです。しかしこのルールは法律で決まっているわけではなく、スキマバイトの業界団体が厚生労働省の見解を受けて定めた自主ルールです。

いかがでしたでしょうか。今回解説したスキマバイトは労使双方にとって便利な仕組みです。トラブルの内容をルールや条件をよく理解して活用していただければと思います。

今回は「スキマバイトはドタキャンできる?」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。

執筆者
志賀 直樹

社会保険労務士法人ジオフィス代表

300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。

保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員

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