定期健康診断の対象者や費用負担、また受診や結果の提出を拒否する従業員への対応など、よくある質問に社労士がズバリ回答します。

こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「定期健康診断に関するよくある8つの質問」についてお話をします。

会社は年に1回、従業員に健康診断を受けさせなければならないことが法律で決まっています。これを定期健康診断と言いますが、今回はこの定期健康診断に関してよくいただくご質問についてお話をしていきます。

Q1. 対象者は全員?

常時使用する労働者に対して健康診断を行う義務があります。常時使用する労働者というのは下記の①②どちらも満たす方の事を言います。

①1年以上雇用見込み

正社員などの無期雇用の方はもちろんですが、今までに1年以上の雇用実績がある方、それから1年を超えて雇用される見込みがある方、例えば6か月契約でまだ入ったばかりというような方でも更新の可能性有りで更新されることで1年以上の雇用される可能性がある方も含みます。

②労働時間は3/4以上

例えば正社員の週の所定労働時間が40時間だとすれば30時間以上のパートさん等は①②どちらも満たす場合は定期健康診断の対象者となるということになります。

Q2. 費用は誰が払う?

この定期健康診断は会社に実施義務がありますので当然会社が支払います。この健康診断は保険が効かないものとなっています。健康保険証を持って3割負担ということにはなりません。ただし協会けんぽや健康保険組合などから補助が出る場合がありますので各健康保険組合に確認してみてください。ちなみに再検査の場合は保険が効きます。そして再検査は会社に実施義務があるものではありませんので会社は支払う必要はありません。もちろん支払っても問題ありませんが基本的には従業員さんの自己負担となります。

Q3. 健診中は労働時間?

会社はその健診中に賃金を支払う義務があるのかということですが、直接的に業務遂行に関わる時間ではないということで必ずしも賃金支払義務はありません。ただし行政通達などを見ると、出来る限り賃金を支払うことが望ましいというようなものが出ていますし、実際に多くの会社で健康診断の時間には賃金を支払っています。賃金を支払っているというのはどういうことかと言うと、例えば所定労働時間内に健康診断を従業員さんが受けに行った場合にその時間を不就労控除したりしないということです。就業中に中抜けで健康診断を受けに行っても、その時間は労働時間とみなして通常通り賃金を支払っているケースが多いということになります。ただし会社が休みの日に従業員さんが自分で選んだ健診期間に行って健康診断を受けた場合には何時から何時までだったかそれを把握して労働時間とみなして賃金を支払う必要まではないということになります。

Q4. 育休中などの場合は?

育休などで休業中の方には受診させる必要はないということになります。ただし復職後速やかに実施するようにしてください。

Q5. 社員が健診を拒否したら?

定期健康診断は法律で会社に実施が義務付けられているばかりではなくて、労働者にも受けなければならないということが義務化されています。会社は受診してくださいと命令したにも関わらず、それでも行かない場合にはその命令に従わなかったということで懲戒処分を行うことになります。ただし従業員さんは必ずしも会社が指定した健診機関で受診する義務はありません。どうしても会社が指定した病院が嫌だということであれば、従業員さんが選んだ健診機関で受けていただいてその結果をきちんと会社に提出していただくことでも構いません。

Q6. 社員が健診結果の提出を拒否したら?

Q5での対応と同じく業務命令としての指示に従わない場合には懲戒処分という流れになりますが、やたらに懲戒処分をしても良くないですから、まずは健康診断結果の提出をなぜ会社は求めるのかということを説明してあげてください。会社は喧嘩を記録して保存する義務があるし、皆さんの健康管理のために行うこと等を説明して理解を求めるということです。それからこの健康診断結果も一種の個人情報ですから内容を見られるのを嫌がる可能性もあります。非常にセンシティブな個人情報ですから会社は十分な注意を持って取扱いをしなければいけませんので担当者制にするといった体制を作る必要があります。そして十分な体制が整っていることを従業員さんに説明してあげてください。

Q7. 所見ありの場合は?

所見ありというのは経過観察、要精密検査、要治療などのことを言いますが、そのような場合には会社は医師の意見を聞き必要な措置を取らなくてはいけません。必要な措置というのは例えば業務内容の変更や、労働時間の短縮などの措置の事を言います。

Q8. 労基署への届け出は必要?

社員の健康診断が終わった後は結果を元に健康診断個人票というものを作成して5年間保存する必要があります。そして常時雇用する労働者が50人以上の事業場では定期健康診断結果報告書を作成して所轄の労働基準監督署に提出する必要があります。

健康診断の目的は病気の早期発見・早期治療などといった従業員の健康確保のためにあります。せっかく健康診断を実施してもそこで終わってしまっていては意味がありません。健康診断の実施後はぜひ必要な措置を講じてください。

今回は「定期健康診断に関するよくある8つの質問」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。

執筆者
志賀 直樹

社会保険労務士法人ジオフィス代表

300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。

保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員

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