労働者に代わって退職の意思を会社に伝える「退職代行サービス」が近年、急増しています。実は、この「退職代行サービス」には、大きく分けて3種類あります。それぞれの違いを社労士が解説します。

こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「退職代行はヤバイ?3種類の退職代行サービス」についてお話をします。

本人に代わって退職の意思を会社に伝えるサービスを退職代行サービスと言います。ここ5.6年ぐらいで退職代行という言葉をよく耳にするようになり、最近ではこの退職代行サービスを行う事業者が大変増えている現状があります。そして実際にその退職代行サービスを利用して会社を辞める方も非常に増えているようです。やはりこれはニーズがあるからこその現象です。勤めている会社がブラック企業で辞めさせてくれない、上司がパワハラ的で怖くて言い出せない等さまざまなニーズがあるから利用が多いのだと思います。ただ利用者の方も退職代行業者のことをよく知らずに依頼しているケースがあるようで、適切なところに依頼しなかったためにスムーズに退職できなかったケースもあるようです。それから、会社側も退職代行サービスが最近増えているので、突然退職代行サービス会社から連絡があってどうしたら良いのか分からないと戸惑った相談も増えています。

そこで今回はこの退職代行サービスについての基本的なお話をしていきたいと思いますが、退職代行サービスには大きく分けて3種類あるというところを解説していきます。解説を進めていくうえでどうしても避けて通れない知識があります。それがタイトルにも記載した「非弁行為」です。耳慣れない言葉かもしれませんが、この非弁行為を理解していないと3種類の退職代行サービスをよく理解することができないかもしれません。

まず弁護士法の条文をご紹介します。

この条文は要するに弁護士ではない人が法律事務を取り扱うような業務を行ってはダメということです。今回の退職代行に絡んでお伝えすると、どういうことが法律事務に含まれるかということですが、退職日の交渉・見払賃金の請求・有休取得の交渉などです。弁護士がやるような仕事で報酬を得たり、弁護士を紹介したりすることをビジネスとしてすることを非弁行為といいます。一応但し書きがあって、除外規程があります。除外規程に記載がない限り、非弁行為を行うと罰則があります。これが前提知識となりますので覚えていてください。

前提知識を解説した上で冒頭に申し上げた3種類の退職代行について解説していきます。

このように退職代行サービスには種類があり内容や料金もそれぞれ違うことがわかります。たまに民間業者のホームページを見ると弁護士監修といった文言があることがありますが、監修していたとしても勝手に間に入って交渉等禁止されたことをすることはできません。やはり弁護士に依頼となると金額が高くなりますが、未払い賃金や交渉してほしい内容が多い人にとっては一番良い方法かもしれません。そして労働組合も会社との交渉は可能です。弁護士ではないのにと考えると思いますが、弁護士法72条でご紹介した別段の定めがある場合には~と記載のある部分が日本国憲法と労働組合法です。そこに労働組合は団体交渉ができると書いてあります。労働組合というのはその組合員の労働条件を交渉したりすることができます。

そしてこの退職代行サービスの事業所数ですが、正確な数を数えたわけではありませんが、例えばインターネット上で退職代行サービスと調べた際にどれだけの企業が目に留まるかというところです。やはり民間業者の割合が多く1番目に止まります。逆に労働組合主体の退職代行サービスはあまり見かけることがありません。現に1番利用されているのは民間業者かと思います。

最近は関わっているお客様からも退職代行サービスから連絡が来てどうすれば良いか分からないといった相談を受けることも多くなりました。詳しく話を聞いてみるとほとんどが民間業者です。

退職代行サービスの表を見るとそれぞれ特性があることが分かります。特性を理解した上で、退職代行サービスを使いたい人はどこを使うのか決めた方が良いかと思います。何のトラブルもなく、未払い賃金や有休取得の請求等もなく、退職したい意思を伝えたいだけの場合は民間業者を使う価値があると思います。しかしなにかトラブルがある場合には専門的な知識を持つ弁護士や交渉権がある労働組合の退職代行サービスを利用するのが適切と考えます。

そして皆さんよく勘違いするのですが、民間の退職代行サービス会社が電話で依頼者の退職について伝え今後のやり取りについて本人には連絡せず代行会社経由でというお願いを受けた場合でも弁護士が代理人になった場合には別として、何の強制力もありません。会社は本人に直接連絡をしても問題ありません。よって会社側がごねて本人との連絡を希望したり何かしらのトラブルがあるとスムーズに退職が進められません。その点を踏まえてどの退職代行サービスを利用するのか使い分けた方が良いのではないかと思います。弁護士を利用する場合には料金は高いですが、オールマイティに対応が可能でさまざまな交渉も行ってくれますので退職にあたりトラブル要素がある場合には弁護士が一番適切でしょう。

いかがでしたでしょうか。従業員さん側からするとブラック企業で話にならない場合は退職代行サービスを使う価値があるかもしれません。目的に応じて退職代行サービスを使い分けてください。会社側においては、退職代行サービスには種類があって圧倒的に民間企業運営が多いことを覚えていてください。そして本当に電話があったらどこの種類の退職代行サービスか確認して、民間企業の場合には交渉ごとが発生したらきっぱりとお断りして本人に連絡させるよう伝えてください。

今回は「退職代行はヤバイ?3種類の退職代行サービス」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。

執筆者
志賀 直樹

社会保険労務士法人ジオフィス代表

300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。

保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員

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