厳しい人手不足に対応するため、令和7年度税制改正において特定扶養控除の見直しや特定親族特別控除の創設が行われました。これを受け、19歳以上23歳未満の方(配偶者を除く)が健康保険の扶養認定を受ける際の、年間収入要件が変更されました。社労士が簡潔に説明します。

こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「2025年10月から19~22歳の扶養認定は150万円未満でOK!」についてお話をします。

社会保険の被保険者に生計を維持される親族が健康保険の扶養に入れるかどうかの判断する条件の1つに年間収入要件というものがあります。

<現行>

・下記以外 ・・・ 年収130万円未満

・60歳以上または障害者 ・・・ 年収180万未満

一般的には年収130万円未満であることが必要です。ただ60歳以上の方、一定の障害を持つ方に関しては年収が180万円未満であることが必要という条件があります。ここで言う年収というのは向こう1年間の見込み額です。税の扶養と健康保険の扶養は同じ扶養でも全く別物です。税の扶養の方は1/1~12/31までの実績値を見ていきます。ところが健康保険の扶養を考えるときには判断するところから向こう1年間の見込み額がどうなのかということで判断していきます。ここを注意してください。もし給与収入だけの場合には月収×12がいくらかで見ていく形となります。給与収入だけの方が年収130万円未満かどうか見る時には130万円を12で割り108,333円以下であれば年収130万円未満になるという判断ができるわけです。

しかしここで言っている収入には給与収入だけが含まれているではありません。給与収入以外にも事業収入、不動産収入、年金、雇用保険の失業給付、健康保険の傷病手当金なども含みます。このルールは昔からあるもので今説明した60歳以上かそれ以外の2つが要件でした。

このルールが今度2025年10月1日以降に19歳以上23歳未満という枠が追加されます。

<変更> 

・19歳以上23歳未満 ・・・ 年収150万円未満         

この制度が追加されたかというと令和7年度の税制改正との整合性を取るためとなっています。この年代は大学生の年代となりますが、主に学生アルバイトの働き控えを解消するための変更となります。これはあくまで2025年10月1日以降に扶養の認定日がある方から適用されます。今までは親の扶養に入っている学生アルバイトさんが加入要件を超えて多く稼ぐようになった場合には扶養から抜け自身で国民健康保険に加入する必要がありました。しかし自身で保険料を支払うのが嫌ということで調整する人がほとんどですが、今年の10/1以降年代は限定されるものの年収150万円未満に変更となるので働き控えも緩和されるのではと思います。

ただし注意点があります。

注意点

① 子に限らない。学生に限らない。

問われているのは年齢のみです。主に想定されているのは大学生の子どもがいる場合の話ですが孫でも良いし兄弟でも良いということになります。年齢の要件だけクリアしていれば問題ありません。

② 配偶者は除く(事実婚も)

年齢の要件を満たしていても配偶者の場合には150万円ではなく現行の130万円未満となります。税改正との整合性を取るための措置のようです。

③ 12/31時点の年齢で判断(1/1生まれ注意)

12/31時点で19歳以上23歳未満である必要があります。1/1生まれ注意というのは年齢到達は誕生日の前日に到達となるので1/1が誕生日の方はその前日である12/31に1つ年を取るということになりますのでそこを注意して下さい。

④ その他の要件は変更なし

今回の説明としては年収をメインに説明していますが、不要になる条件はその他にもあります。

【例】同居:被保険者の収入の1/2未満 ※例外あり

   別居:仕送り額未満 ※例外あり

いかがでしたでしょうか。10/1から変更される扶養認定の条件ですが、少し難しいとは思いますが会社の労務担当の方は間違いないように実務を行っていただけたらと思います。

今回は「2025年10月から19~22歳の扶養認定は150万円未満でOK!」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。

執筆者
志賀 直樹

社会保険労務士法人ジオフィス代表

300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。

保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員

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