こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「1週間単位の非定型的変形労働時間制とは何か?」についてお話をしていきます。
既に別動画で1年単位の変形労働時間制・1か月単位の変形労働時間制について解説をしてきました。今回は変形労働時間制の第三弾として1週間単位の変形労働時間制についてお話をしていきます。ただし今回は今までと違って「非定型的」という言葉がついています。これは今までは週40時間以内の範囲であれば労働時間を変形させることはできたのですが、1年単位や1か月単位の時には、予め労使協定や就業規則である程度の所定労働時間などを定めておく必要がありました。ところが今回の1週間単位の変形労働時間制ではそれが不要となります。よって弾力的にシフトが組めます。ですから「非定型的」という言葉がついているということになります。
1週間単位の非定型的変形労働時間制
日々の業務の繁閑の差が激しく予測が困難な一定の事業に1日10時間までの労働を認める制度
※一定の事業:①小売業・旅館・料理店・飲食店 ②従業員が常時30人未満の事業場
この1週間単位の変形労働時間制は業種が限られているので限定的です。そして会社ではなく事業場単位で見ます。そしてこの制度には注意点がいくつかあります。
✓週40時間は守ること(特例措置対象事業場も)

先ほど例を挙げた業種は週末などが忙しいことが多いので土日にお休みというケースは少ないかもしれません。そこをイメージして今回の図では土日の勤務時間を多くしています。図のように週の合計40時間以内を守っていれば問題ありません。
✓労使協定の締結・届出が必要(就業規則も)
この1週間単位の非定型的変形労働時間制を導入する場合には労使協定を結んで管轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。常時10名以上働く従業員がいる事業場には就業規則の届け出義務もありますので注意してください。
✓シフトは事前に通知する(緊急、やむを得ない場合は前日まで変更可)
シフトはいつでも変更して良いわけではありません。緊急・やむを得ない場合を除き事前通知が基本です。

そして今回の説明の中でオレンジ色で協調している部分がありますが、これは1か月単位の変形労働時間制などと比べた場合に1週間単位の変形労働時間制のデメリットになると考えられるポイントになります。順番に見ていきましょう。
●一定の事業といった限定的な対象である。
1か月単位の変形労働時間制にはそのような縛りはない。
●1日10時間まで。
1か月単位の変形労働時間制には1日の労働時間数の上限はありません。
●特例措置対象事業場でも週40時間を守らなければならない。
特例措置対象事業場に対して与えられている週44時間上限を1週間単位の変形労働時間制を採用した場合には使えなくなります。
●労使協定の締結・届出が必要(就業規則も)
1か月単位の変形労働時間制では就業規則か労使協定どちらかを作成すれば問題ありませんでしたが、1週間単位の変形労働時間制では必ず労使協定の締結や届出が必要になります。
いかがでしたでしょうか。実はこの1週間単位の変形労働時間制はあまり採用されていないことが多いのが事実です。いくつかのデメリットが存在しますし、採用できる条件が限られているからです。しかし条件さえ満たしていればメリットもありますので条件を満たしている場合には検討されても良いかと思います。
今回は「1週間単位の非定型的変形労働時間制とは何か?」についてお話をしていきました。少しでも参考になれば幸いです。
執筆者

志賀 直樹
社会保険労務士法人ジオフィス代表
300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。
保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員


