そもそも労働基準法で休日とはどんな日のことを言うのでしょうか?週に何日必要なのかや法定休日と所定休日の違いなど、社労士がわかりやすく解説します。

こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「休日とは何か?週に何日あれば良い?」についてお話をします。

そもそも休日とは何かというお話ですが、労務管理では休日とは労働義務がない日のことを言います。これは就業規則や雇用契約書などに必ず記載があるはずです。例えば土曜・日曜・祝日・年末年始など書いてあるはずです。これは働かなくていい日、すなわち労働義務がない日ということです。これに似た言葉で休暇という言葉がありますが、これは意味が違います。休暇は労働義務がある日にその労働義務が免除されることを言います。この休日と休暇については別の動画で詳しく説明していますので、そちらを見ていただければと思います。

休日とは労働基準法で以下の通り規定されています。

原則は週に1日以上休日を与えますが、4週間に4日以上となった場合にどの4週間をとってもそこに4日休日が入っていなければいけないというわけではなく、会社ごとの起算日がありますのでその起算日を基準に28日ごとに区切って考えていきます。28日の中に4日以上の休日があれば後半にまとめて4日休暇を与えるということでも問題ありません。この休日の与え方は変形休日制と言われることがあります。この変形休日制を採用する場合には就業規則に起算日を記載する必要があります。28日ごととなるとカレンダーとはずれていき、賃金計算期間ともどんどんずれていくことになるので、休日付与のためだけにカレンダーを28日ごとに区切ってチェックしていく必要があるので手間がかかるかもしれません。

労働基準法ではシンプルな書き方しかしていないので補足説明します。まず休日のルールです。

①休日は何曜日でも良い

土日が休みの会社が多いだけで法律で決まっているわけではありません。

②祝日を休日にしなくても良い

こちらも法律で決まっているわけではありません。

③週休2日でなくても良い

法定労働時間の関係で週休2日の会社が多いだけです。詳しくは別動画をご覧ください。

④暦日(午前0時~午後12時)で与えなくてはならない ※例外あり

日をまたいだ勤務をした場合には丸々24時間休んだことにはなりませんので注意してください。

そして休日には2種類あります。それは法定休日と法定外休日です。法定外休日は所定休日と呼ばれることもあります。

法定休日

労基法上で決まっている最低ラインの休日のことです。ということは週に1日、変形休日を採用している場合には4週間に4日以上休みを与えなければなりません。

法定外休日

週に1日の休日が法定休日ですが、ただ先ほど言ったように週休2日の会社もあります。そうすると週に2日休みがある場合は1日が法定休日となりますがもう1つが法定外休日(所定休日)となります。法定休日を上回る日数の休日です。比較として法定外休日と記載していますが、実際は所定休日と呼ばれることが多いかもしれません。

ここで出てきた法定休日に従業員に労働させる場合には36協定の締結と管轄の労基署への届け出が必要となります。それをやらずに休日労働をさせることは不可能です。労働基準法でいう休日、36協定などにも休日労働と記載がありますが、そこで言っている休日というのはこちらの法定休日という意味です。そしてこの法定休日に実際に労働させた場合には1.35の割増賃金の支払いが必要となります。

それに対して法定外休日というのは、この1.35の割増賃金の支払いは不要です。ただ時間外労働になる場合はあります。月曜日~金曜日の間に既に40時間働いていて、さらに土曜日も働いた場合には日曜日が休みであれば1.35は不要ですが、40時間超えしている土曜日の出勤分に関しては1.25の割増賃金が発生します。さらに36協定で締結した時間内での労働となります。ここをしっかり区別しないと割増率も違いますので注意してください。

この話を分かりやすいように図にしてみました。下記をご覧ください。

図①

図②

まず図①で日曜日~土曜日までの1週間を書いてみました。1週間というのは特に定めがなければ日曜から始まって土曜で終わります。皆さんの近くにあるカレンダーを見て頂ければ大概日曜始まり土曜終わりだと思います。

例として土日はお休み、1日の所定労働時間は8時間で月曜~金曜まで働く場合に、そこに対して休日出勤が発生したらどうなるのかを考えていきます。日曜日に休日出勤が発生し、月~金まで通常勤務、土曜日はお休みした場合にはどうでしょうか。土曜日に1日休めているのでここが法定休日になります。日曜日の労働については所定休日に労働したという扱いになります。このケースの場合は日曜日の出勤分に対して週40時間オーバーになるので1.25の割増賃金の支払いが必要となります。もし土日どちらも労働した場合には土曜日に法定休日労働が発生したということになります。これは予め法定休日を設定していない場合の話となりますので日曜日に出勤して土曜日まで労働した場合には後から働いた土曜日が法定休日扱いとなり、1.35の割増賃金の支払いが必要となります。

これに対して法定休日は日曜日とすると就業規則で定めている会社もあります。その場合にはとにかく日曜日に労働したら法定休日労働扱いとなり、割増賃金1.35が発生します。土曜日に休めていたとしても就業規則で定めているので法定休日労働扱いとなります。なぜこのような対応を行うかというとその方が給与計算が楽だからです。法定休日を定めていない場合、給与計算の際にどこが法定休日になるのか見極めて確認しなければいけません。それを避けるために法定休日の曜日を特定してしまえば、日曜日に労働した=1.35だと給与計算がスムーズになります。

今まで話してきた内容は日曜始まりを基準としてお話をしていきましたが、図②のように月曜で始まって日曜で終わるようなこのような1週間でも構いません。これは就業規則で週の始まりは月曜日であると記載しておけば問題ありません。

いかがでしたでしょうか。休日に関するルールは労働時間や休憩と並んで最も基本的で大切なルールの1つとなりますのでしっかりと理解していただければと思います。

今回は「そもそも休日とは何か?週に何日あれば良い?」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。

執筆者
志賀 直樹

社会保険労務士法人ジオフィス代表

300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。

保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員

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