こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「働きながら年金をもらうといくら減らされるのか?」についてお話します。
まず働きながら年金を受けると年金額の一部または全部が減額されてしまう制度があります。今回はこの制度について説明をしていきます。この制度は「在職老齢年金」という名前です。
【在職老齢年金】60歳以上の厚生年金の被保険者(および70歳以上被用者)が働きながら老齢厚生年金を受けると減らされる場合がある。

上記のような計算式で支給停止額が決まりますが、言葉だけでは難しいと思うので1個ずつ解説していきます。
まず基本月額というのは年金額÷12の額なので、つまり年金の月額です。ここで言っている老齢厚生年金の年額が例えば年間120万円受ける方であれば120万÷12で1か月あたり10万円になります。それが計算式上の基本月額となります。次に一番分かりづらいであろう総報酬月額相当額ですが、標準報酬月額+標準賞与額÷12で求められるものです。標準報酬月額はご存じ多いかと思いますが、標準賞与額は直近1年間に貰った賞与の額の合計だと考えてください。この2つを足して12で割ったものが総報酬月額相当額となります。そして基本月額と総報酬月額相当額を足したものが50万円をどれほど上回っていてその2分の1の額がカットされるわけです。年金や月の賃金・賞与が多ければ多いほど沢山カットされてしまうわけです。中には年金が全額カットされてしまうこともあり得るのが在職老齢年金の仕組みになります。計算式に出てくる50万円のことを支給停止調整額と言いますが、現時点での額でこれは変動します。
文章だけでは分かりづらいので例を挙げてみました。

この場合は本来月12万円貰えるはずだったものが在職老齢年金の仕組みによって4万円減額されることになります。計算式の中に一切この老齢基礎年金の月額は登場しませんでしたが、老齢基礎年金は減額の対象とはなりません。あくまで減額の対象となるのは老齢厚生年金です。
いかがでしたでしょうか。このような制度があるならば働くことを辞めようかと思われる方もいるかもしれません。この在職老齢年金の制度は60歳以上の就労意欲を削いでいるのではないか、働き控えを誘発しているのではないかという意見も実際にあります。従って実はこの在職老齢年金の制度は現在見直しの議論が進められているところです。色々な意見があるようですが、見直しは必要な制度だと思います。
今回は「働きながら年金をもらうといくら減らされるのか?」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。
執筆者

志賀 直樹
社会保険労務士法人ジオフィス代表
300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。
保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員


