こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「勝手に早出する社員にも残業代の支払いは必要か?」についてお話をします。
最初に原則的なお話をすると従業員さんが勝手に早出をしてきて例えば始業時刻が9時なのに8時やもっと前に勝手に早出をしてきてタイムカードを押して仕事をしていた場合に会社が気づいていながら放置していたというのであれば、これは残業代の支払いが必要になります。なぜかと言うと、実際に労働していたのは事実ですし会社も気づいていて放置していたとすると、それは労働時間としてみなされます。
労働時間=会社の指揮命令下にある時間 ※黙認していれば「黙示の命令」
早出している従業員について時々相談を受けることがありますが、指示もしていないのに早出している社員に最初にやるべきことは理由を聞いてください。理由を聞いた上で返ってきた回答の例を挙げます。
●「渋滞やラッシュを避けるため」
言い分は分かりますが、結局早出していてもコーヒーやネットサーフィン、新聞、たばこなどで全然仕事をしている様子が伺えない場合は残業代の支払いが無駄になります。
→あまり早く出社しないよう注意。PCの立ち上げ・タイムカードの打刻は始業時刻直前にさせる。
●「やらなければならない仕事がある」
本当に朝早く来てやる必要がある仕事なのか確認する必要があります。
必要と判断:始業時刻の変更(就業規則・雇用契約)、残業代を支払う
不必要と判断:早出しないよう注意・指導(記録) →改まらなければ懲戒処分
いかがでしたでしょうか。勝手な早出を放置すると後から高額な未払い残業代を請求されるかもしれません。これに限らずなにか不適切なことがあった時には放置はいけません。適切な労務管理をよろしくお願いいたします。
今回は「勝手に早出する社員にも残業代の支払いは必要か?」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。
執筆者

志賀 直樹
社会保険労務士法人ジオフィス代表
300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。
保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員


