こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「社員のミスによる損害に対し、会社は損害賠償を請求できるか?」についてお話をします。
今回のタイトルに対する結論としては「できる」ですが、一定の制限があることに注意しなければなりません。順番に見ていきましょう。
【注意点】
①損害の全額を賠償させることはほぼ無理
せいぜい25%~50%程度。100%賠償させることができるというのは故意による犯罪行為の場合など限定的になります。場合によっては0%つまり全く回収できないなんてことも可能性としてはありえます。随分賠償額が低いと思われる方もいるかもしれませんが、これは報償責任という考え方があるからです。これは利益あるところに損失も帰するべきという考えで、会社は労働者を利用して利益を上げているのだから損害が発生した場合にもそれを負担すべきという考え方となります。
②あらかじめ賠償額を決めることは違法
労基法16条「賠償予定の禁止」
③賃金からの控除は原則ダメ
原則がダメというだけで本人の合意があれば不可能ではありません。ただしその合意が本心から同意しているor希望しているということが必要になります。無理やり同意させられたものは無効です。そして合意を裏付ける書面(念書)などを取り交わしていたほうが良いかと思います。しかし、本当に合意があったのかどうか争いになった時には会社が証明するのはかなりハードルが高くなりますので賃金からの控除はなるべく避けた方が無難だと思います。
以上のような注意点をクリアした上で窓外賠償請求は可能ということになります。ミスをした社員への損害賠償請求は一定の制限の範囲内で可能とは言っても、請求する方もされる方も気持ちのいい話ではありません。やはりそもそもミスをしないように教育を徹底していただくことが重要になります。
今回は「社員のミスによる損害に対し、会社は損害賠償を請求できるか?」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。
執筆者

志賀 直樹
社会保険労務士法人ジオフィス代表
300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。
保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員


