こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「失効した健康保険証が令和7年12月2日以降も使える特例とは?」についてお話をします。
令和7年12月2日以降全ての健康保険証が使えなくなります。12月2日以降はマイナ保険証か資格確認書を利用して保険診療を受けることになります。この話は既に別動画でしていますのでそちらもご覧ください。
ただマイナ保険証の利用率を調べてみると2025年10月時点で37.14%ということです。これは厚生労働省が発表している数字ですが、まだまだ利用率は低く浸透していないことが分かります。そもそもタイトルにもなっている12月2日以降に健康保険証が使えなくなるということ自体知らない方が多くいます。また資格確認書というものを知らない方もいます。ということは、医療機関での混乱が予想されます。そこで厚生労働省は医療関係団体へ11月12日に通知を出しています。

※医療関係団体への令和7年11月12日付 事務連絡 「マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行について」(一部抜粋) @厚生労働省
この通知について長い文章で分かりづらい部分もあるので、どういう意味なのか詳しく見ていきたいと思います。
まず移行期における暫定的な取扱いについてですが、これは従来の健康保険証からマイナ保険証に移行するという意味です。暫定的というのは特例措置であり、いつまでもやるわけではないということになります。そして12月2日以降の健康保険証完全廃止の後に健康保険証を引き続き持ってくる人や保険者(協会けんぽ・健康保険組合等)から通知された「資格情報のお知らせ」を持ってくる人がいると予想されます。資格情報のお知らせのみでは保険診療は受けることはできません。マイナンバーカードと併せて持参する必要があります。
そうすると勘違いして持参してしまった人たちに考えられることは保険診療が受けられず10割負担になってしまうということです。ずっと前から通知していても知らない人は知らない内容なので現場の混乱は起きてしまうと考えられます。そこで保険証等単体で有効なものとして~という文章がありますが、これは健康保険証は12月2日で失効することには変わりないということで保険診療を受けるための有効なものとして利用できるわけではないですが、どこの健康保険でも被保険者である資格を確認できれば保険診療をしてあげてくださいという医療機関に対するお願いになっています。
被保険者番号等により~という文章がありますが、医療機関や薬局というのは基本的にはオンライン資格確認システムというのが利用できる状態になっています。患者さんが保険証を出してその時に情報を入力すると、その方が間違いなく被保険者であることをリアルタイムで確認できるシステムがあります。今までは保険証に記載されている記号・番号などを入力して確認して保険診療を行っていたわけですから、失効済みの保険証であっても、それ自体は使えませんが記号番号が分かれば照会が可能ということになりますので確認が取れれば保険診療をしてくださいということになります。 12月2日になった途端にダメというわけではなく確認が取れれば今までと同様に3割負担の処理をして良いと通知が出ています。
医療機関に対する通知なのでレセプト請求といった文言がありますが、これは患者さんからは3割貰い残りの7割を保険者に請求することです。そしてまたこの運用は暫定的な対応として差支えないという文章が出てきますが、あくまでこれは特例措置としての対応であってずっと続くわけではないことを示しています。この文を読む限り義務ですという通知ではなく差し支えないという文言であるためにこういう対応をしない病院もあるかもしれません。原則はやはりマイナ保険証か資格確認書の利用ですので、いくら厚生労働省の通知が出ていても100%どこの病院でも対応してもらえるわけではなさそうです。

この通知の情報を拡大解釈して12月2日以降でも問題なく使える等といった情報を流している人もいますが、有効期限が延長されたわけでもなく、あくまで資格確認が取れた場合での特例措置となりますので勘違いしないようご注意ください。何度も言いますが、原則はマイナ保険証か資格確認書を持参して保険診療を受けてください。
通知の中では加入している保険者によらずと記載がありますが、後期高齢者医療制度や国民健康保険を利用している方は7月31日に有効期限が切れていて既に失効しているはずです。その関係で実は今回と同様の通知が6月27日にも出されています。その時は後期高齢者医療制度・国民健康保険の利用者限定ですが、今回はいよいよ協会けんぽを含むさまざまな健康保険の方が対象となります。
最後にもう一つ重要な部分ですが、こうした対応は令和8年3月末までの暫定的な対応であり~という文章がありますが、ここには2つ重要なことが書いてあります。まずこの特例的な対応をして良いのは令和8年3月末までということです。ということは来年の4月1日以降は原則に戻ってこのような特例的な運用はなくなる可能性があるということになります。そして次回以降の受診時にはマイナ保険証か資格確認書を必ず持参いただくよう呼び掛けてくださいとありますが、これは先ほど言ったように今回の特例措置は有効期限を来年の3月末まで伸ばすということではないので、間違って保険証や資格情報のお知らせを持ってきた方に関して、次回は必ずマイナ保険証か資格確認書を持参してもらうようお願いしてくださいということです。それでも保険証を持ってくる方はいると思いますが、立て付けとしては特例措置は来年の3月末までということになります。
いかがでしたでしょうか。今回の特例措置はマイナ保険証への移行期の混乱を避けるためにとられる暫定的な対応のようです。ただこの対応が逆に混乱に拍車をかけないことを願うばかりです。また来年の4月1日以降どのような対応になるのか状況が変わる可能性がありますので、新しい情報が入り次第このチャンネルでも配信していきたいと思います。
今回は「失効した健康保険証が令和7年12月2日以降も使える特例とは?」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。
執筆者

志賀 直樹
社会保険労務士法人ジオフィス代表
300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。
保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員


