会話の当事者が相手の同意を得ずにこっそり録音する、いわゆる「秘密録音」は違法ではないのでしょうか?また、録音した音声を証拠として利用することはできるのでしょうか?社労士が解説します。

こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「職場での秘密録音は違法ではないのか?」についてお話をします。

今回のテーマも時々聞かれますが、会社と従業員の間のやり取りを相手に無断で録音することは違法なのか、合法なのか。そして録音した内容を証拠として使うことができるのかについてお話をしていきます。

まずテーマを職場での秘密録音と掲げましたが、この動画の中で秘密録音とは不当解雇・パワハラなどの証拠として会話の当事者が相手の同意を得ずこっそり録音するという前提でお話を進めていきます。想定しているのは職場ですので主に従業員さんが録音する行為として捉えてください。

従業員さんが後々に不当解雇やパワハラを主張する際の証拠となるように、その音声データを密かに録音することを秘密録音としていますが、それに対して盗聴というのは会話に参加していない全く関係ない第三者がこっそり録音することを言いますので意味の違いに注意してください。

この秘密録音が違法なのかということですが、内緒で録音すること自体は問題なく原則として合法だということになります。ただ第三者に公開すると、名誉棄損やプライバシー侵害などで違法になる可能性もありますので注意してください。ここで言う第三者とはSNS等で色々な人の目に触れたり、耳にすることができる状態のことを言います。そしてこの秘密録音は多くの場合、証拠能力はあると考えられます。基本的には余程のことがない限り証拠として使えます。例えばその録音の仕方が非常識な酷いやり方で録音していたり、著しく反社会的手段で録音している場合には証拠とはなりません。また聞き取れない録音でも証拠とはなりません。明確に音声が聞き取れなければ証拠とはならないのでご注意ください。

実はいまこの動画を撮影している間で内ポケットにスマホを入れて録音していましたので、そのデータを聞いてみます。内ポケットに入れていましたが、聞き取ることが可能でした。この程度聞き取れれば証拠として使用することができます。

今お話したように基本的には録音データは証拠として使用できますので、不当解雇やパワハラなどで訴えたい場合には録音しても違法ではありません。

ここまでは従業員さん側の立場に沿った説明をしましたが、会社側からするとどうなのか考えていきます。会社側からするとあまり録音はしてほしくないと思う方が多いかと思います。解雇をする局面では、会社側は注意しているだけでパワハラには該当しないと考えていますが、従業員さん側に録音されていてパワハラと後々訴えられたくないのは当然のことと思います。

それでは会社側はどのような対応を取ればいいのでしょうか。

①録音されている前提で話す

当たり前ですが録音されていても問題ないように穏やかに真摯的に会話することが重要です。

②就業規則で禁止する(懲戒処分も)

録音という行為を就業規則で禁止するという方法もあります。場合によっては懲戒処分の対象にすることを規程の中に盛り込むことも可能です。ただ就業規則で禁止していたけれど、それでも録音してパワハラを訴えてきた場合に証拠となる際は、その訴えてきた当事者を解雇するようなことは認められないと思います。

③同意を得て、こちらから録音する

予め相手に同意を得て会社側が録音するということも一つの手段です。ポケットに忍ばせるのはなく、きちんと机上に置いて録音しながら会話をすれば、お互いに気が引き締まり紳士的なやり取りになるのではないかと思います。会社側から録音を行う際にはやはりこっそり録音するのではなく、きちんと相手の同意を得てやるようにしたほうが良いのではないでしょうか。

いかがでしたでしょうか。いくら就業規則で禁止しても録音する人は録音します。ですから先ほど言ったように録音されても問題ないような話し方を会社側も従業員さん側も心掛けていただければと思います。

今回は「職場での秘密録音は違法ではないのか?」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。

執筆者
志賀 直樹

社会保険労務士法人ジオフィス代表

300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。

保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員

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