一口に月給制といっても、欠勤した場合などに給与が減額される月給制と、減額されない月給制があります。この区別を明確にしておかないと、トラブルの原因になりかねません。色々な考え方を紹介したうえで、最もおすすめの方法を解説します。

こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「完全月給制と日給月給制」についてお話をします。

従業員を雇用する際に雇用契約書を取り交わしますが、その中には賃金形態つまり月給制や時給制といった内容を記載します。正社員であれば月給制、パートタイマーの方であれば時給制が多いかと思います。実はこの月給制ですが、色々な種類があります。大きく言えば、例えば従業員が風邪でお休みをした場合に給料が減額されてしまう月給制と全く減額されない月給制があります。皆さんも日給月給制なんて言葉を聞いたことがあるかと思います。このようなことについて皆さんがもしインターネットで色々調べた場合にさまざまな情報があってどれが正しい情報なのか迷ってしまうかもしれません。この言葉遣いは法律で決まっているわけではありませんので、絶対にこれが正しくてこれは間違っているということはないですが、少なくとも会社の中での言葉遣いは明確にしないとトラブルが起きてしまう可能性があります。今回はこの言葉遣いをしっかりと整理していきたいと思います。

先ほどインターネット上ではさまざまな情報が溢れていると言いましたが、大きく分けて3つになるのではないかと思います。下記の表を見ながら説明していきたいと思います。

上図はまず月単位で給与を決定しているケース、1日単位で給与を決定しているケース、時間単位で給与決定しているケースで分けています。最初は月単位のケースでお話していきますが、月単位の場合は不就労控除があるかないかで2つに分類されます。この不就労控除はノーワークノーペイの原則から欠勤・遅刻・早退などで働かなかった部分の給料を減額することを言います。先ほど言った従業員が風邪でお休みをした場合に給料が引かれるのか引かれないのかという話です。

例えば月給30万円の方が不就労控除無しの場合、従業員さんが風邪でお休みした場合でも給与の減額はせずこの30万円をしっかり支払われるときに①の考えたかたでは完全月給制と呼びます。それに対して不就労控除が有りの場合、従業員が風邪で1日お休みしたならば欠勤控除が行われ計算式に沿って出された結果で月給額から控除する形を日給月給制と呼びます。

次に1日単位で給与を決定している場合、例えば日給1万円というケースでは日給制と呼びます。ある月に20日間働いたとすれば1万円×20で20万円が支給されるというのが日給制です。そして時間帯で給与を決定し、例えば時給1,200円というケースでは時給制と呼びます。ある月に100時間働いたとすれば、12万円が支給されるということになります。今お話した内容が図上での①のお話になります。①の考え方が1番シンプルで良い方法だと思っています。

②の考え方を見ていきますが、月給制で不就労控除無しが完全月給制というのは先ほどと変わりません。しかし不就労控除有りの場合には日給月給制もしくは月給日給制と呼ぶというように説明される方もいます。この違いですが、不就労控除をするときに欠勤した分を控除するのは日給月給制で変わりませんが、月給日給制というのは手当に関しては控除しない基本給部分のみ控除するという内容になります。日給制と時給制に関しては①と同様となります。

③の考え方を見ていきますが、不就労控除無しでは完全月給制という部分は変わりません。しかし月給制で不就労控除有りの場合にはこれを月給日給制と呼ぶ場合があります。そして1日単位で給与が決定される場合に日給月給制と日給制の2つの呼び名があるケースがあります。違いとしては1か月に1回だけ支払われるものについては日給月給制と呼び、日払いや週に1度支払う場合などでその都度支払うケースでは日給制と呼ぶということになります。時間単位で給与を設定している場合には①②同様時給制となっています。

インターネット上では色々な言葉が使われていて迷ってしまうかもしれませんが、どの言葉遣いでも間違いではありませんが会社で同じことをするとトラブルの原因となりますので社内ではどの呼び方にするのか明確にすることが重要です。

先ほど①の考え方が1番シンプルでオススメというお話をしましたが、これには理由があって②を採用した場合に不就労控除有りで手当を含めて控除するのであれば日給月給制だけれども、手当に関しては控除しないで基本給だけ控除するのが月給日給制という説明なのですが、実際には手当の中にも不就労控除する手当としない手当があって、例えば役職手当に関しては1日休んだら1日分減額するけれども、通勤手当に関しては減額せず支給するといったケースもあります。そのような場合にどっちなのかという疑問が出てきてしまいますので①のほうがスッキリするという理由です。③の考え方に関しては日給制でもそれを1か月まとめて月に1度支払いするのであれば日給月給制、日払いなどであれば日給制としていますが、これはあくまで支払いのスパンの問題となるため、それによって賃金形態の名称が変わるというのはどうなのかなというのがありますし、時給制の方もほとんどの場合月に1度の支払いが多いかと思いますが、それを時給月給制とは言いませんので、個人的には①の考え方がベストなのではないかと思います。

ちなみにハローワークでの考え方は以前まで不就労控除無しの月給制を月給制と呼んでいました。完全はつかない月給制です。そして不就労控除がある月給制を日給月給制と呼んでいました。現在は区別をせず不就労控除があってもなくても月給制ということになっているようです。月給制は完全月給制なのか日給月給制なのかここを明確にしておかないと後々トラブルになる可能性もありますので注意いただければと思います。

今回は「完全月給制と日給月給制」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。

執筆者
志賀 直樹

社会保険労務士法人ジオフィス代表

300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。

保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員

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