こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「異例づくし!2025年度の最低賃金を徹底分析」についてお話をします。
厚生労働省から2025年度の最低賃金の改定に関する情報が公表されています。ここで言う最低賃金というのは、地域別最低賃金の事です。最低賃金には都道府県ごとに定められた地域別最低賃金と特定の産業に適用される特定最低賃金の2種類があります。ここでお話しするのは地域別最低賃金のことになります。
厚生労働省から公表されている資料には「令和7年度地域別最低賃金答申状況」というものがあります。これは概要欄にリンクを貼っておきますので後で印刷してお手元に置いていただけたらと思うのですが、この資料は答申状況ということで、まだ最終確定ではないのですが、余程の事がない限り基本的には答申状況通りに改定がされるはずですので、今回はこの資料に基づいてお話を進めていきたいと思います。
タイトルに異例づくしと書きました。異例なことが沢山あります。何が異例なのか答申状況から読み解いてお話します。

まず赤い四角で囲われている部分ですが全国加重平均額が1,121円になります。加重平均とは労働者数を加味して平均を取ったものが加重平均です。昨年度が1,055円なので66円の上昇になり、率にすれば6.25%アップということで非常に大きい今までの最高額の上昇となります。昭和53年度以降で最高と記載しているのはこの年から最低賃金の決め方が少し変わりました。目安制度という最低賃金を決める仕組みが昭和53年度以降に変わって、その年以降でみると過去最高となるわけです。この1,121円という数字もすごいですが、政府目標としては1,500円を掲げています。よってこのハイペースでのアップというのは今後も引き続くだろうということが予想されます。
そして答申状況から抜粋したデータが下記のとおりです。
1.最低賃金が高い順
① 1,226円 (東京)
② 1,225円 (神奈川)
③ 1,177円 (大阪)
最も最低賃金が高いのはもちろん東京です。1,226円になる予定です。東京都最低賃金は現在1,163円ですのでここから+63円アップすることになります。2番目は神奈川県の1,225円、3番目は大阪府の1,177円とこういう風に続いていきます。
東京都は人手不足で例えばパートさんを採用したいとなった時になかなか安い時給だと人が採用できない状況があります。1,300円の程度の求人を出すことも当たり前なのでそれからすると最低賃金の1,226円はそこまで高いという印象は受けないかもしれません。今現在最低賃金でパートさんを大勢雇っている会社は時給アップしなければいけません。そしてただ単に最低賃金に引っかかる人だけ上げるわけにもいかないと思います。そうすると全体的に少しずつ底上げしていかないとバランスが取れなくなってしまうので人件費の増加というのは大変になる可能性があります。最低賃金として見たときにはつくづく随分上がったなという風に思います。私は学生時代にマクドナルドでアルバイトしていましたがその当時1985年度辺りの東京都の地域別最低賃金は477円です。私は500円ちょっとの時給を貰っていた気がしますが、昔と比べると随分上がったなという気がします。
2.最低賃金が安い順
① 1,023円 (高知・宮崎・沖縄)
② 1,026円 (鹿児島)
③ 1,029円 (青森)
全国で最も最低賃金が安いところは上記の通り1,023円の高知県・宮崎県・沖縄県です。ここも異例というより、未だかつてないことが起きています。1番安くて1,023円ですから全国全ての都道府県で最低賃金は1,000円を超えたということです。今現在の令和6年度に適用されている最低賃金をみますと例えば東北・北陸・四国・九州・沖縄のどの県でも1,000円を超えている県は1県もありません。ところが今回の改定では全ての都道府県が1,000円を超えるようになるということがここから読み解けるということです。これも1つの異例なことだなと思います。
3.引き上げ額が大きい順
① 82円 (熊本) +8.6%
② 81円 (大分) +8.5%
③ 80円 (秋田) +8.4%
先ほど東京都は1,163円から1,226円で63円のアップですとお伝えしましたが、上記の通り引き上げ額としては東京都を上回る県がいくつもあります。1番大きい熊本県は82円のアップです。強烈です。上位3県は非常に上げ幅が大きいです。率で見ても大きいことが分かると思います。要するに急激な時給アップが行われることになり、中小企業の社長さんの中でも時給アップに伴う人件費の増大で苦しんでいる方もいらっしゃるのではないかと思います。この引き上げ率が非常に急激であるということも今回の改定の特徴です。
4.発効日(改定日)が遅い順
① 2026年3月31日 (秋田)
② 2026年3月1日 (群馬)
③ 2026年1月1日 (福島・徳島・熊本・大分)
この発効日というのは答申状況にも記載があります。これは改定日の期限となります。この発効日がとても異例で、最低賃金は例年10月頃に改定され、大体発効日というのが10/1ということが多いです。多少のズレがあったとしても10月1か月の範囲内で発効日が決まっているのですが、今回の発効日を見ると非常にバラバラです。10月の発効日は少数派で11月や12月がゴロゴロあります。そして上記の通り遅いところでは年を跨いで来年2026年の3月末になっているのが秋田県です。今回は非常に上げ幅が大きく準備期間を設ける意味での配慮だと思いますが、地域別最低賃金の改定ではこの発効日がバラバラで年を跨ぐ県もあるというのが特徴です。

最後に今お話しした情報というのは動画更新日現在の情報なので、もしかすると今後変更がある可能性もありますので、その点だけご了承いただければと思います。
いかがでしたでしょうか。最低賃金の急激な引き上げについて色々ご意見もあるかと思いますが、この最低賃金に違反すると、30万円以下の罰金という罰則が最低賃金法という法律で定められていますのでご注意ください。それから賃金引き上げに取り組む中小企業を応援する業務改善助成金というものがあります。こちらも拡充されることになっていますので機会があれば動画でアップしていきたいと思います。
今回は「異例づくし!2025年度の最低賃金を徹底分析」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。
執筆者

志賀 直樹
社会保険労務士法人ジオフィス代表
300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。
保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員


