退職する社員が会社の色々なデータをこっそり持ち出してしまうことがあります。このようなことがあると会社は大変な損害を受けるかもしれません。何のために持ち出すのか?持ち出された会社のリスクは?そして、どうすれば防げるのか?社労士が解説します。

こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「退職者のデータ持ち出しをどうやって防ぐか?」についてお話をします。 

従業員さんが退職する際にデータを持ち出して退職されてしまうと会社側は困ってしまいます。ではどうやって防いだら良いのか今回はこのお話になります。このお話の中でデータと言っているのは顧客情報・マニュアル・ノウハウ・技術情報・その他機密情報などです。これらのデータの持ち出しをどうやって防いだら良いのか3つのお話に分けて説明していきます。

1.なんでデータを持ち出すか?

①転職時の手土産

顧客情報を持っているから営業をかけられると言って有利に転職しようとすることが考えられます。確かに転職時には有利に働くことはあるかもしれませんが、その後で転職先で良いことが起きるとは思いません。転職先の企業も顧客が増えて売り上げが増える可能性があるということで利用価値があるかもしれないということで受け入れるかもしれませんが、顧客情報は無限にあるわけではないので利益も一時的ですし、転職先の企業もこの人は前の会社から企業秘密を持ち出すような人間という目で見ていますから利用できるだけ利用して出世は難しいと思われます。

②独立開業の準備

同じ業界でその方が独立開業しようとする時にあらゆる情報を持ち出していけばスムーズに創業できるのではないかと考えて持ち出すかもしれないということですが、これも今まで何度か見てきましたが、データの持ち出しもそうですが、スタッフの引き抜きや顧客もそのまま移動させてしまう等、今まで持っていたノウハウをそのまま持って自分が会社を作って社名だけ変えてやっていることは同じ、スタッフも顧客も一緒という状況で新しい会社をスタートするというような例があります。しかし結局会社自体は伸び悩んでいるケースが多く、それがどうしてなのか考えたときに創業時は確かにさまざまノウハウが揃っていた方がゼロからスタートする会社よりはスムーズな立ち上げができるかもしれません。しかしその前に勤務していたところでやっていたことをただ会社を立ち上げて名前を変えてやっているだけで新しい価値を生み出していないということが分かります。そして何らかの理由でその仕事自体が減っていくような場合もありますので、その時に踏みとどまれるかどうかが意外に難しかったりするようです。

③会社(上司)に恨み → ネットで公開

会社や上司に恨みがあってデータを持ち出してそれをネット上で公開したり、外部に売る、協業他社に売るなどといった取引を行い困らせてやろうということが考えられます。

2.持ち出された会社のリスクは?

①顧客流出

顧客情報を持ち出されてそこに営業をかけられて、そのまま顧客を取られてしまうという可能性はありますから顧客や売り上げが減ってしまうということになります。

②ノウハウ流出

マニュアルやノウハウ、技術情報などの企業秘密を持ち出されてしまうと、外部流出してしまって競争力が低下したり業績の悪化に繋がるというようなリスクが考えられます。

③損害賠償請求

持ち出されたデータが個人情報だった場合に、それが流出した時にはその本人から損害賠償を請求される可能性があります。

④刑事罰(個人情報保護法違反)

場合によっては刑事罰に問われる可能性があります。外部流出させたのは退職した従業員だとしても会社側は知らないというわけにはいけません。これは管理監督責任として刑事罰が問われる可能性もあるということです。

3.どうやって防ぐか?

①システム的な対策(ID管理、アクセス制限など)

このシステム的な対策に関しては労務管理というところからはそれてしまいますので詳しい説明は省かせていただきますけれども、社内のシステム担当者の方や社内のシステムを購入している業者さんなどに相談してみてください。

②誓約書(在職中・退職後の秘密保持義務)

在職中・退職後の秘密保持の誓約書を書いていただき、守らなかった場合には損害賠償請求をするというたてつけにします。この誓約書を書いてもらうタイミングですが基本的には入社時が良いかと思います。

③懲戒解雇(退職金不支給)

多くの場合、就業規則に懲戒解雇の場合は退職金の一部または全部を不支給という規程があることが多いので懲戒解雇=退職金を払いませんという処分にするというルールを作っておくということです。そもそも退職金がないのであれば、この抑止は使えないということになりますので、このような観点からすると退職金の設定はあった方が良いのかなということになります。

ここまでの解説を聞いて結局はもしもの話と思うかもしれませんが、就業規則に規定して周知を徹底しておくということで一種の心理的抑止の一つになります。折に触れて研修等で学ぶ機会を設けたりすることも一つの方法だと思います。データの持ち出しを防ぐ方法はこの他にもあるかと思いますが、代表的な所のご紹介でした。しかしさまざまな手を打っても完全に防ぐことは難しい問題です。このデータの持ち出しが起きると会社に迷惑がかかるわけですから、社員と会社でより良い関係性が作られれば一番良いと思います。現実にはなかなか難しいかもしれませんが、せめて恨みを買わないような関係性であったら良いのではないでしょうか。

今回は「退職者のデータ持ち出しをどうやって防ぐか?」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。

執筆者
志賀 直樹

社会保険労務士法人ジオフィス代表

300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。

保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員

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