こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「パートタイマー、アルバイト、契約社員、どう違うの?」についてお話をします。
パートタイマー・アルバイト・契約社員・いずれもいわゆる非正規雇用労働者等と呼ばれる雇用区分の方々なのですが、この中にはもちろん派遣社員という人もいます。今回は会社が直接雇用している人に絞ってお話していきますが、普段からパートタイマー・アルバイト・契約社員という言葉はよく使っていると思います。何となくは分かっているけれど、実際にどう違うのかと改めて聞かれるとなかなか答えられなかったりするのではないかと思います。この後詳細についてお話していきますが、実はこの違いというのが法律で明確に決まっていない部分も多々あります。よって一般的に使い分けられていることが多いという意味でのお話になります。ただこの後のお話を聞いていただければだいぶ整理がつくと思います。
まず切り口としてはフルタイムなのかパートタイムで働くのかということと、無期契約なのか有期契約なのかということです。フルタイムというのは例えば正社員で1日の所定労働時間が8時間で週に2日休みであれば5日働いて40時間となり、これがフルタイムと呼ばれるものになります。それに対してパートタイムというのはそれより短い短時間労働者ということです。こちらを元に図にしてみました。

こちらが基本形としての説明となりますが、よく契約社員と呼ばれる方に関してはフルタイムで働く方が多いです。業務内容としては正社員に近いことをしていることが多いです。ところが、1年契約等期間が決まっている契約となります。そしてパートタイマーというのは有期契約で雇われている短時間労働者で要するにフルタイムではない人です。これが基本的な考え方になります。まずはここを抑えてください。図には月給が多いや時給が多いと記載しましたが、これも法律で決まっているわけではありません。正社員は月給でなければいけない、パートタイマーは時給でないといけないといったことが法律で決まっているわけではなくて、そういうことが多いというだけの話です。
ではアルバイトは何なのか、パートとアルバイトはどう違うのかと思われるかもしれませんが、同じだと思っていただいて問題ありません。どちらも扱いとしては同じなので、呼び分けているだけと思ってください。イメージとしては下記図の通りです。

あくまでイメージでこちらも法律で決まっているわけではありませんが、一般的にこのような呼び分けがされていることが多いかと思います。
今までの説明で基本的な考え方が理解できたと思いますが、続けて説明していきます。

こちらはパート大活躍と記載しましたがイレギュラーケースとなります。例えばスーパー・コンビニ・ファミレス・介護施設・工場などです。このような場所ではパートさんが大勢働いていてパートさんが主戦力になる職場となります。本来パートタイマーというのは有期契約が一般的というお話を①でしましたが、このような職場では期間の定めがない無期パートが存在します。そしてパートは短時間というお話も出ましたが、現実にはフルタイムのパートさんも存在していて、無期契約の方もいます。図では分かりやすいように「フルタイム無期パート」と記載しましたが、これは法律等で決まっているものではなく、個人的に考えたものなので名称は気にしないでください。カテゴリとしては正社員と同じになりますが、正社員は月給で、フルタイムのパートさんは時給といった差がある場合もあります。

最後に無期転換です。無期転換というのは有期契約の労働者が無期契約へ転換することです。会社によって転換制度がある会社もありますし、5年超の無期転換権といって有期雇用を繰り返し契約5年を超えた方に関しては自分を無期転換に変えてほしいと申し出ることができます。その申し出を会社側は拒否することはできません。図では他の①②と比べて無期契約社員というのが追加されています。契約社員は①で説明したように原則有期です。それが無期転換すると正社員になるケースがあります。正社員になる場合もありますが、無期契約社員になる場合もあります。原則として無期転換時の労働条件は現在の条件より下回るということはないはずなので、会社における契約社員が正社員とほぼ同じ労働条件でただ単に期間の定めがあるかどうかの違いだけというようなケースであれば、その方は無期転換すると正社員になります。そうではなくて無期転換しても契約社員という名称は変わらず、正社員とは違うという扱いをする会社においては無期契約社員という形になります。この言葉も法律で決まっているわけではありません。契約社員というのは有期契約という意味合いが強いですが、無期転換後も契約社員となると本来正社員が当てはまる向きでフルタイムのカテゴリの中にフルタイム無期パート・無期契約社員が入ってきたということで、だいぶ混雑してくるわけです。こうなると雇用形態のボーダーレス化が進んでいるという現実があります。そしてパートタイマーの方が無期転換すると無期パートになります。
こう見ていくとだいぶ複雑になっているのが理解できたかと思います。無期転換に話が変わっていくと雇用区分というのがシンプルではない結構複雑になります。
そして「同一労働同一賃金」について聞いたことがあるかと思います。いわゆる非正規雇用の労働者は正社員と不合理な待遇差を受けてはいけないというような内容です。これはパートタイム・有期雇用労働法や労働者派遣法といった法律が根拠となっています。冒頭でもお伝えしましたが、派遣労働者は除いて直接雇用の方に絞って今回お話しています。しかし、そうするとどちらの法律にも当てはまらないフルタイムの無期労働者はどうなるのかという問題が生じます。これについては従来適用されないと考えられていましたが、実は今年の4月に判決が確定し、フルタイムの無期労働者についても適用されることになりました。不合理な待遇差はダメという判決が確定しました。
最後に今回の分類の中には入れませんでしたが「嘱託社員」という方が会社によっては雇用されているかと思います。これは一般的にという話になりますが、定年再雇用された人です。会社では正社員として働いていて例えば60歳で定年になり、65歳まで再雇用制度で1年ごとの契約等で働いているような方のことをいいます。このように整理していただければ良いと思います。
いかがでしたでしょうか。正規雇用労働者以外の色々な雇用について法律で明確に定義されていない部分も多いのでなかなか分かりづらいこともあったかと思いますが、今回の動画を見て整理がついたのではないでしょうか。そして会社の就業規則を見てみてください。大概最初の方に社員の定義があるはずですので、自分の会社はどのような定義になっているのか確認してみてください。
今回のお話は多くの場合このように言われているという話なので、これを機会に整理して就業規則の条文などを点検していただければと思います。少しでも参考になれば幸いです。
執筆者

志賀 直樹
社会保険労務士法人ジオフィス代表
300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。
保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員


