労働安全衛生規則の改正により、産業医が辞任するなどで辞めた場合に、労働基準監督署へ報告することが義務付けられます。従来からある選任時の報告の流れと比べながら、詳しい内容を社労士が解説します。

こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「2026年8月1日~、産業医の辞任の報告が義務化されます!」についてお話をします。

2026年8月1日から会社がお願いしている産業医が辞任などをした場合、労働基準監督署への報告をすることが義務化されます。

これは労働安全衛生規則の改正によって義務化されつというわけですが、そもそも産業医とは何なのかというところから簡単におさらいすると、産業医というのは事業場で働く労働者の健康管理を行う医者のことです。これは医者なら誰でもなれるわけではなく、研修を受けるなどして産業医のある資格を持っている方ではないとなれません。会社はそのような方と契約をして産業医になっていただき、労働者の健康管理などを行っていただいたり、衛生委員会に出席いただいたり、あるいは職場巡視を原則月1回以上行っていただく必要があります。これは常時使用労働者50人以上の事業場で千人が義務となっています。ですから50人未満であれば産業医の選任義務はありませんので、必ずしも選任する必要はなく居なくてもいいわけですが、事業場の従業員数が50人以上になったら必ず産業医を選任しなければいけないというルールになっています。注意していただきたいのは会社ごとではなく事業場ごとになります。本社や支店、営業所などの各事業場での人数をカウントすることになります。

今回はその産業医が辞任し産業医でなくなった場合に労働基準監督署への報告が必要になるということになります。今までは選任報告のみで良かったのですが、8月1日からは辞任報告も義務化となります。

まずは選任のルールから見ていきます。

上図のようにある会社で産業医の選任義務が発生したとします。選任義務には2パターンあって①事業場の従業員数が50人以上になった ②前任者が辞めた場合となります。このパターンのどちらかが起きた場合に14日以内に産業医を選任しなければなりません。選任後に報告書を遅延なく管轄の労働基準監督署へ提出する必要があります。遅延なくというのが曖昧な言い方になっていますが、数週間以内に報告するのが望ましいです。

そして選任義務のパターンで前任者が辞めた場合お伝えしていますが、この辞めるには3つのパターンがあります。まず自ら辞める「辞任」、会社から解約した「解任」、契約期間満了の「退任」です。いずれの場合でも辞めたことには変わりないので選任義務は発生します。今までは選任の報告だけで問題ありませんでしたが、今回から辞任等で辞めた場合についても報告する義務が発生します。

申請方法として原則は電子申請となりますが会社によっては電子申請をできる体制が整っていない場合もありますので当分の間は書面申請でも可能となっています。書面での提出の場合、選任報告は様式3号という正式な書面があるのですが、辞任報告には様式がありません。選任報告書に準じた形で辞任報告を作成してください。また後任の産業医の選任報告の中で前任者の情報(氏名・異動日)を届け出した場合には別途辞任報告は不要となりますので注意してください。よって前任者が辞めて新しく選任した場合には自ずと選任報告書を提出する流れとなるため、そこに前任者情報を記載しているので辞任報告は提出する必要はありません。

今回法改正により辞任報告を義務化した背景には選任義務が発生した場合に14日以内に選任し遅延なく報告をする必要がありますが、会社が求める産業医がなかなか見つからなかったり、14日以内に選任せず産業医が居ない状況が続いている企業が多くあるため辞任報告のルールができました。選任もせず報告もせず産業医不在の空白期間が続くことは問題です。辞任報告を出していなければこの状況を行政側は知ることができませんので今回の法改正により、より状況を把握できやすくなるということになります。

いかがでしたでしょうか。今回は産業医の辞任の報告、行政に対する報告義務のお話をしました。実は産業医が辞任した場合というのは衛生委員会にも報告義務があります。これは昔からあるルールです。衛生委員会は外部ではなく社内の組織の一部ですので必ず漏れのないよう報告を行ってください。

今回は「2026年8月1日~、産業医の辞任の報告が義務化されます!」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。

執筆者
志賀 直樹

社会保険労務士法人ジオフィス代表

300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。

保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員

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