従業員の無断欠勤が続き、連絡が取れなくなってしまったとき、会社がその従業員を解雇することはできるのでしょうか?社労士が解説します。
こんにちは。社会保険労務士の志賀です。今回は「行方不明の従業員を解雇することはできるか?」についてお話をします。
ここで言っている行方不明とはどういうことかと言うと、無断欠勤が続き連絡が取れない状態の事を行方不明と取り扱います。会社に何の連絡もなく休んでおり、それが1日だけではなく何日も続いていて会社の方から連絡しても連絡が取れない状態のことです。このような状態が続いていると会社としては退職の手続きを取らない限りずっと社会保険料がかかり続けます。だったら辞めてほしいけど、解雇ができるのか?というのが今回のお話です。
連絡が取れないと書きましたが、電話・メール・LINEなどはもちろんのこと自宅訪問、家族(保証人)への連絡等あらゆる手段をとっても連絡が取れない場合のことを言います。その場合に解雇できるかどうかですが、結論から申し上げますと解雇することはできます。ただし条件がいくつかあります。
・このような状態が起きたら懲戒解雇をするという内容を就業規則に定める
懲戒解雇事由「正当な理由なく●日以上の無断欠勤・・・・」
一般的にここに入る日数は14日以上です。数日ではなく2週間以上と定めておいた方が認められやすくなります。
・30日以上前の解雇予告or30日分以上の解雇予告手当
このような対処をしないと無効になってしまいます。今回のような連絡が取れないと言った社員側に落ち度があるケースの場合は事前に労働基準監督署に解雇予告除外認定を受けることができます。その認定を受けた場合には解雇予告や解雇予告手当の支払いというのは必要ありませんが、認定を受けることがハードルが高いものです。労働基準監督署から本人への聞き取りがありますが、そこで間違いないかを確認すると認定が下ります。今回のケースのようにそもそも連絡が取れないという場合だと認定が下りるのか微妙なところではあります。
・解雇の通知
解雇の通知が本人に届く必要があります。しかし連絡が取れない場合にどのようにして解雇の意思表示をするのかが問題となります。家族ではなく本人ではないとダメです。このような場合に「公示送達」という方法があります。今回のケースで例えると連絡が取れない場合に解雇通知の内容を裁判所の掲示板に2週間掲示してもらうという方法です。これにより解雇通知が本人に届いたとみなす措置となります。しかしこの方法は時間と手間がかかりますので少し現実的ではないかもしれません。
公示ではなく別の方法で解雇の通知が届かない場合の対処法としては就業規則に規定を示しておくことが重要です。内容としては「従業員が行方不明となり●日以上連絡が取れなくなった時には自然退職とする」というものです。この日数に関しても2週間以上が望ましいです。自然退職とは従業員もしくは会社から意思表示も無しにある一定のことが起きたら自動的に退職となることを自然退職と言います。例えば期間満了や定年なども自然退職の一種です。このような規定を就業規則に定めておくことで解雇することなく自然退職として退職の手続きが取れるということになります。
ちなみにこのような場合の給料はどうするのかという疑問を持つ方もいるかもしれません。銀行振込の場合はその方が働いた分振り込めばいいですが、例えば現金手渡しのような会社があったとして、働いた分の給料を渡したいのに連絡が取れないという状況になったとしても必ず探して渡さなければならないという義務はありません。しかし本人が取りに来たらいつでも渡せるようにそのお金を準備しておく必要があります。現状賃金債権の実行は3年間なのでその期間は取っておく必要があります。3年経っても取りに来なければ雑収入として処理するという流れになります。
いかがでしたでしょうか。今回のお話は連絡が取れなくなってしまったということが前提です。ありとあらゆる方法で連絡を試みたけれども音信不通ということが前提になりますので、このような状況の場合には会社としていつどのような方法で連絡を試みたか記録に残しておくことなどが重要となります。
今回は「行方不明の従業員を解雇することはできるのか?」についてお話をしました。少しでも参考になれば幸いです。
執筆者

志賀 直樹
社会保険労務士法人ジオフィス代表
300社以上の労務管理をサポートしてきた経験を活かし、頻繁な法改正への対応や労働トラブル解決を中心に、中小企業に寄り添ったサービスを行う。
保有資格
・特定社会保険労務士
・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリア・コンサルティング技能士
・産業カウンセラー
・生産性賃金管理士
・日商簿記1級
・ラジオ体操指導員


